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今月の主題 POCT,医療におけるその役割 各論─事例を通して学ぶPOCTの組み立て方と有用性
慢性疾患の診察前検査
著者: 嶋田昌司1
所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床病理部
ページ範囲:P.51 - P.56
文献購入ページに移動 日本人の寿命が延び続けている.喜ばしい事実である反面,慢性疾患を抱え長期にわたり診療を受け続ける患者数は増加し,身体的,経済的に負担を強いられることになる.POCTは簡便かつ迅速に診療の現場で,患者の傍らで検査できる一連の検査システムであり多額の設備投資も不要である.本システムの有効活用は多くの診療現場で診察前検査を可能とし,患者のQOL向上にも有効な手段である.一方で,簡便であるがゆえに検査実施者は臨床検査技師のように検査のプロでなくても医師,看護師などの医療知識を有する者であれば誰にでもなりえる.ただし,有効かつ安定したPOCTの運用のためにはコーディネータの活動が重要である.コーディネートされたPOCTは医療連携の幅を拡大し,今後の長寿国日本を支えるに必要な方策となりえるであろう.
参考文献
1) 厚生労働省:平成20年度簡易生命表の概要について.http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life08/index.html(2009年9月28日参照)
2) 厚生労働省:第3回 慢性疾患対策の更なる充実に向けた検討会.http//www.mhlw.go.jp/za/0811/c18/c18.html(2009年9月28日参照)
3) 桑島実:日本臨床検査医学会「基本的検査」とその改定案について.診断群別臨床検査のガイドライン2003,日本臨床検査医学会,pp172-173, 2003
4) 畑中徳子,山本慶和,松尾収二:外来診療における血漿BNPの診察前検査導入の効果.臨床病理 56:961-966, 2008
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