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今月の主題 POCT,医療におけるその役割 話題―道具を知り,動きを知る
イムノクロマト法の原理と応用
著者: 原哲郎1 前田正彦1
所属機関: 1インバネス・メディカル・ジャパンセールス・マーケティング本部
ページ範囲:P.79 - P.83
文献購入ページに移動迅速簡易検査におけるイムノクロマト法としてわが国で,1980年代に尿中のヒト絨毛性ゴナドトロピンを検出する妊娠検査薬が登場し,数分程度で簡単に妊娠が判定できることからOTC(over the counter)薬として1992年より一般薬局で販売されてきた.また,1990年代後半には,患者検体から病原微生物抗原を迅速に捉えられるイムノクロマト法を用いた迅速抗原検査薬1~3)が相次いで体外診断薬の認定を受け市販され,診療保険点数が付くようになってきた.
2005年に発表された日本呼吸器学会の「成人市中肺炎診療ガイドライン」4)では,市中肺炎の起炎菌として最も検出率が高く,菌血症を起こすなど重篤化しやすい肺炎球菌感染症について,早期に適切な治療を行うため,肺炎患者の尿中に可溶性抗原が排泄されることを利用したイムノクロマト法による尿中抗原検出キット「BinaxNOW®肺炎球菌」5)などの使用を推奨している.本法は培養法に比べて,操作が簡便で,検出に要する時間も15分間と短い.インフルエンザウイルス抗原検出キットに代表されるように,近年イムノクロマト法を利用した検査試薬が急速に広まっており,緊急検査をはじめ,POCTにおける感染症や心筋マーカーなどの様々な分野においてイムノクロマト法による検査試薬の研究開発が進められている.
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