文献詳細
文献概要
今月の主題 POCT,医療におけるその役割 話題―道具を知り,動きを知る
POCTのための新しいデバイスの開発
著者: 桑克彦1
所属機関: 1独立行政法人産業技術総合研究所計測標準研究部門
ページ範囲:P.93 - P.97
文献購入ページに移動1.はじめに
POCTは,診療現場での即治療を目的として用いられる検査の一つである.特に欧米においては急速に普及している.アメリカでは,当初は医療費の削減効果を狙ったものであった.しかし,その目的は果たせなかったものの,患者からの診療,特に治療に対するインフォームド・コンセントへの理解と協力が非常に得やすくなったというメリットがある.
POCT用デバイスは,その使用対象により狭義のPOCT用デバイスと広義のPOCT用デバイスがある.前者は医療機関において,検査室での測定性能と同等の能力をもち,かつ品質管理(quality control;QC)も含めて,測定情報は検査室で管理可能となるものである.特に,測定値の記録およびその管理が重要であることから,デバイスには情報端末が必須である.これをコネクティビティ(connectivity)という(note参照).
これに対して後者は,医療機関以外での使用,すなわち家庭での使用も含めて,モニターとして使うものである.最近のPOCT用デバイスは,後者の使い方を指していることが多い.したがって,POCTは診断や治療およびモニタリングも含めて,検査室外で行われる検査のための簡易デバイスであるといえる.
本稿では,このようなPOCT用デバイスについての要件と血糖モニタリング装置についての技術開発状況を例に示す.
POCTは,診療現場での即治療を目的として用いられる検査の一つである.特に欧米においては急速に普及している.アメリカでは,当初は医療費の削減効果を狙ったものであった.しかし,その目的は果たせなかったものの,患者からの診療,特に治療に対するインフォームド・コンセントへの理解と協力が非常に得やすくなったというメリットがある.
POCT用デバイスは,その使用対象により狭義のPOCT用デバイスと広義のPOCT用デバイスがある.前者は医療機関において,検査室での測定性能と同等の能力をもち,かつ品質管理(quality control;QC)も含めて,測定情報は検査室で管理可能となるものである.特に,測定値の記録およびその管理が重要であることから,デバイスには情報端末が必須である.これをコネクティビティ(connectivity)という(note参照).
これに対して後者は,医療機関以外での使用,すなわち家庭での使用も含めて,モニターとして使うものである.最近のPOCT用デバイスは,後者の使い方を指していることが多い.したがって,POCTは診断や治療およびモニタリングも含めて,検査室外で行われる検査のための簡易デバイスであるといえる.
本稿では,このようなPOCT用デバイスについての要件と血糖モニタリング装置についての技術開発状況を例に示す.
参考文献
1) 中井利昭,松尾収二,〆谷直人,他:POCTガイドライン第2版.日本臨床検査自動化学会会誌 33(suppl 2):1-46,2008
2) Medtronic社ホームページhttp://www.minimed.com/products/guardian/(2009年10月8日参照)
3) Tamada JA, Bohannon NJ, Potts RO:Measurement of glucose in diabetic subjects using noninvasive transdermal extraction. Nat Med 1:1198-1201, 1995
4) Maruo K, Tsurugi M, Nakagawa T, et al:Noninvasive and continuous near-infrared blood glucose monitoring-Some clinical experiences in intensive care unit(ICU). Fifth Annual Diabetes Technology Meeting A95, 2005
5) MacKenzie HA, Ashton HS, Spiers S, et al:Advances in photoacoustic noninvasive glucose testing. Clin Chem 45:1587-1595, 1999
6) 三巻弘,桑克彦:代謝熱整合法による非侵襲的血糖測定法の開発.分子糖尿病学の進歩基礎から臨床まで2005(矢崎義雄監),金原出版,pp163-168, 2005
7) 桑克彦:非侵襲的血糖モニタリング代謝熱を用いた新技術を中心にして.臨床病理 54:519-525, 2006
掲載誌情報