文献詳細
文献概要
シリーズ最新医学講座・Ⅰ 死亡時医学検査・12
Aiの動向
著者: 山本正二1
所属機関: 1千葉大学医学部附属病院放射線科
ページ範囲:P.103 - P.109
文献購入ページに移動はじめに
2003年に有志が集まってオートプシー・イメージング(Ai)学会が創設されてから5年が経過し,その後,医師で作家の海堂尊が『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)を初めとする一連のベストセラー作品で訴えているとおり,Aiを取り巻く状況は刻々と変化している.これは,通常新しい医療行為が学会を通じて普及するという形をとるのに対し,Aiが一般社会にまず認知され,その後その概念に賛同する施設で実施され,普及していったという形態をとったからである.いわば中央主導の施政ではなく,地方からの自然発生的な必要性を満たすための要求がAi普及の原動力である.
本来ならば,2005年から始まった第三者機関による医療関連死調査分析モデル事業をたたき台にした,医療関連死死因究明制度について言及すべきであるが,第3次試案を2008年に出して以降,会議に大きな進展はみられない.これは,解剖を土台とした死因究明制度が現在のシステムでは運営が困難であること,また,Aiを取り入れなければシステムが運用できないことを示している.そこでAiを取り巻く現在の状況について解説したい.
2003年に有志が集まってオートプシー・イメージング(Ai)学会が創設されてから5年が経過し,その後,医師で作家の海堂尊が『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)を初めとする一連のベストセラー作品で訴えているとおり,Aiを取り巻く状況は刻々と変化している.これは,通常新しい医療行為が学会を通じて普及するという形をとるのに対し,Aiが一般社会にまず認知され,その後その概念に賛同する施設で実施され,普及していったという形態をとったからである.いわば中央主導の施政ではなく,地方からの自然発生的な必要性を満たすための要求がAi普及の原動力である.
本来ならば,2005年から始まった第三者機関による医療関連死調査分析モデル事業をたたき台にした,医療関連死死因究明制度について言及すべきであるが,第3次試案を2008年に出して以降,会議に大きな進展はみられない.これは,解剖を土台とした死因究明制度が現在のシステムでは運営が困難であること,また,Aiを取り入れなければシステムが運用できないことを示している.そこでAiを取り巻く現在の状況について解説したい.
参考文献
1) Aiワーキンググループ:日本放射線専門医会・医会のAi(Autopsy imaging)に関する提言.http://plaza.umin.ac.jp/~ai-ai/1000ji73.htm(2009年8月24日参照)
2) 日本医学放射線学会:死亡時画像診断に関する意見書.http://www.radiology.jp/modules/news/article.php?storyid=627(2009年8月24日参照)
3) 厚生労働省:医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案―第三次試案―.http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1030&btnDownload=yes&hdnSeqno=0000037306(2009年8月24日参照)
4) 日本病理学会:「医療の安全確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案―第三次試案―」に対する意見について.http://jsp.umin.ac.jp/committee/publiccomment080630.html(2009年8月24日参照)
5) 日本法医学会「死因究明のあり方に関する検討委員会・同WG」:日本型の死因究明制度の構築を目指して―死因究明医療センター構想―.http://plaza.umin.ac.jp/legalmed/siinnkyuumei/teigen.pdf.pdf(2009年8月24日参照)
6) 日本医師会死亡時画像病理診断(Ai=Autopsy imaging)活用に関する検討委員会:死亡時画像病理診断(Ai)の活用における医学的および社会的死亡時患者情報の充実の可能性及び課題について.http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20080326_3.pdf(2009年8月24日参照)
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