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特集 新時代のワクチン戦略について考える 各論 1. 勧奨接種のワクチン―現行ワクチンの問題点と将来に向けて
1) 百日咳
著者: 中野貴司1
所属機関: 1川崎医科大学小児科学講座
ページ範囲:P.1299 - P.1305
文献購入ページに移動百日咳は,年少児が罹患した場合は合併症や生命予後が特に憂慮される疾患であり,乳児早期からのDPTワクチン接種により予防を心がけることが何よりも大切である.また,近年は年長児や成人の患者増加が国内外で問題となっている.彼らの症状は軽症や非定型的な場合も多く,正確な診断がなされずに放置され,周囲への感染源となることもしばしばである.百日咳菌は家族内や接触者間での感染力が強く,社会や集団で菌が伝播すれば,最も被害を受けるのは年少児である.より多角的な観点からの,ワクチンを用いた百日咳制御策を本邦でも検討する必要がある.
参考文献
1) 多田有希,岡部信彦:感染症の話~百日咳.IDWR 感染症発生動向調査週報.5(36):12-15,2003
2) 中野貴司:予防接種で子どもを守る―EPIから新しいワクチンまで.小児感染免疫 20:219-226,2008
3) 中野貴司:細菌感染症.化学療法の領域 25(増刊号):1172-1176,2009
4) 国立感染症研究所:百日咳 2005~2007.IASR 病原微生物検出情報月報.29(3):65-77,2008
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6) 木村三生夫,平山宗宏,境春美(編著):予防接種の手引き(第12版),近代出版,2008
7) 伊東宏明,中野貴司,松野紋子,他:成人を対象としたジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチンの安全性と免疫原性.日小会誌 114:485-491,2010
8) 中野貴司:再興感染症としての百日咳―わが国においても対策の大切さを認識しましょう.小児科臨床 59:1673-1680,2006
9) Greeff SC, Mooi FR, Westerhof A, et al:Pertussis disease burden in the household;How to protect young infants. Clin Infect Dis 50:1339-1345,2010
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