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文献詳細

雑誌文献

臨床検査54巻13号

2010年12月発行

文献概要

今月の主題 遺伝子検査の最近の展開-ヒトゲノム多様性と医療応用 各論

乳癌の遺伝子検査

著者: 垂野香苗1 津田均2

所属機関: 1国立がん研究センター中央病院外科 2国立がん研究センター中央病院・病理科

ページ範囲:P.1641 - P.1648

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 乳癌組織を対象とする遺伝子検査には,HER2検査,Oncotype Dx,MammaPrintなどがあり,また,乳癌のリンパ節転移を検出する遺伝子検査として,OSNA法がある.HER2検査は,免疫組織化学法とFISH法よりなり,分子標的抗癌薬trastuzumabの治療対象の決定に用いられる.OSNA法は,術中迅速センチネルリンパ節転移診断を目的に行われる.HER2検査とOSNA法は,本邦では保険収載されている.Oncotype Dx,MammaPrintは,ホルモン受容体陽性乳癌における術後補助化学療法の適応決定を目的に行われる遺伝子レベルの検査である.海外の臨床試験では,それらの遺伝子検査の有効性を示すデータがあり,本邦では保険未収載であるが,将来の導入が期待される.

参考文献

1) 吉田美和,津田均:乳癌診療ハンドブック 改訂2版(福富隆志編),中外医学社,pp283-286,2010
2) Kumar V, Cotran RS, Robbins SL:Robbins Basic Pathology 7th edition, Saunders, Philadelphia,2003
3) 小林隆之,津田均:乳癌と臨床検査―遺伝子検査.Medical Technology 37:449-455,2009
4) トラツスマブ病理部会:HER2検査ガイド 改訂第三版,中外製薬,2009
5) 吉田美和,津田均:アトラス細胞診と病理診断(亀井敏昭編),医学書院,pp150,2010
6) 辻本正彦:OSNA法の乳癌リンパ節転移術中迅速検査への応用.多施設共同臨床性能試験.(野口眞三郎,秋山太編),シスメックス,pp22-33,2008
7) 徳留なほみ,伊藤良則:乳癌診療ハンドブック 改訂2版(福富隆志編),中外医学社,pp299-305,2010
8) Paik S, Shak S, Tang G, et al:A multigate assay to predict recurrence of tamoxifen-treated, node-negative breast cancer. N Engl J Med 351:2817-2826,2004
9) Paik S, Tang G, Shak S, et al:Gene expression and benefit of chemotherapy in women with node-negative, estrogen receptor-positive breast cancer. J Clin Oncol 24:3726-3734:2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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