文献詳細
文献概要
今月の主題 遺伝子検査の最近の展開-ヒトゲノム多様性と医療応用 各論
出血凝固系疾患の遺伝子検査
著者: 柴田優1
所属機関: 1奈良県立医科大学小児科
ページ範囲:P.1661 - P.1667
文献購入ページに移動 先天性凝固因子欠乏症のなかでは血友病A,Bおよびフォンヴィレブランド病(VWD)の頻度が高い.血友病A,Bとも様々な変異がデータベースに報告されている.血友病においては患者の遺伝子異常をもとに信頼性の高い保因者診断が可能である.type 2N VWDでは遺伝子解析が臨床診断において非常に有用である.先天性凝固阻止因子欠乏症の中でPS,PC,AT欠乏症は血栓症発症との因果関係が明らかであり,遺伝子異常の検索が診断に有用な場合がある.近年,ワルファリン投与量の個人差はVKORC1およびCYP2C9遺伝子のポリモルフィズムと関係することが明らかになった.
参考文献
1) 瀧正志,大平勝美,白幡聡,他:厚生省労働省委託事業 血液凝固異常症全国調査 平成21年度報告書.財団法人エイズ予防財団,2010
2) 柴田優:血友病A 分子病態の解明から分子治療へ.日小児血液会誌 22:205-214,2008
3) 柴田優:話題の疾患遺伝子 血友病A.小児科 50:1088-1092,2009
4) 篠澤圭子,福武勝幸:凝固因子欠乏症の疫学,遺伝子解析.日内会誌 98:1599-1607,2009
5) 西野正人,藤村吉博:vonWillebrand病の分子生物学,みんなに役立つ血友病の基礎と臨床(白幡聡編),医薬ジャーナル社,pp68-76,2009
6) James P, Lillicrap D:The role of molecular genetics in diagnosing von Willebrand disease. Semin Thromb Hemost 34:502-508,2008
7) James PD, Notley C, Hegadorn C, et al:The mutational spectrum of type 1 von Willebrand disease:Results from a Canadian cohort study. Blood 109:145-154,2007
8) Eikenboom JC, Matsusita T, Reitsma PH, et al:Dominant type 1 von Willebrand disease caused by mutated cysteine residues in the D3 domain of von Willebrand factor. Blood 88:2433-2441,1996
9) 森下英理子:診断・治療・技術講座 先天性血栓性素因の診断の進め方.日血栓止血会誌 19:416-421,2008
10) 小嶋哲人:先天性凝固阻止因子欠乏症(antithrombin, protein C, protein S欠損症)日血栓止血会誌 20:484-486,2009
11) 有吉範高,中澤一純,北田光:ワルファリン治療個別化に利用可能な簡易・同時遺伝子診断法の確立.医療薬学 35:551-557,2009
12) 高橋晴美:WarfarinとCYP2C9,VKORC1遺伝子多型.臨床薬理 39:243-246,2008
掲載誌情報