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今月の主題 -ミクログロブリン-その多様な病因,病態と検査アプローチ 話題
β2-ミクログロブリン測定標準化の現状と近未来
著者: 池野千束1 内田浩二1 新井秀夫1 伊藤喜久2
所属機関: 1オリエンタル酵母工業(株) 2旭川医科大学臨床検査医学
ページ範囲:P.66 - P.69
文献購入ページに移動β2-ミクログロブリン(β2-m)が初めて報告されてから約半世紀を経た.当初,尿中腎尿細管マーカー,さらに血清ウイルス疾患,悪性腫瘍マーカーとして測定意義が注目されると,1980年代前半に早くも血清を凍結乾燥仕上げした国際標準品が新たに登場した1).本邦でβ2-mの標準品を初めて作製したのはItohら2)で,1990年前半に尿から高度に精製したβ2-mを吸光係数により日本の仮の標準品と定めた.しかし尿から精製したものは尿中分解による構造の不均一性,ほかの物質の混在も否定できないなどの問題を抱えていた2,3).
2006年頃から国際臨床化学連盟(IFCC)血漿蛋白委員会では,血清蛋白測定国際標準品新ロット(ERM-DA470k/IFCC)の作製の機に,β2-mが新たに項目として加えられた4).また本邦においてもERM-DA470k/IFCCに順じて日常標準品の作製が進められて,その中心課題はβ2-mの遺伝子産物の作製にある.ここではβ2-m測定標準化の現状と今後の展開について概説する.
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