icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査55巻1号

2011年01月発行

文献概要

シリーズ-検査値異常と薬剤・11

―投与薬剤の検査値への影響―中枢神経系作用薬・Ⅴ

著者: 片山善章1 澁谷雪子2 米田孝司3

所属機関: 1神戸常盤大学保健科学部医療検査学科 2神戸常盤大学短期大学部衛生技術学科 3オリエンタル酵母工業株式会社長浜事業所

ページ範囲:P.89 - P.96

文献購入ページに移動
脳生理活性物質

1 . シチリコン

 白色の結晶性の粉末で,においはない.水に極めて溶けやすい.アセトン,エタノール,クロロホルムには溶けない.吸湿性がある.シチコリン(Citicoline)はシチジン-5′-ジホスフェートコリン(cytidine diphosphate choline;CDP-choline)のことで,脳組織の30%を占める成分であるホスファチジルコリン合成のための,中間的な生物学的化合物であり自然界に存在し水溶性である.

 シチコリンの消費がアセチルコリンの合成機能を向上させ,脳内のリン脂質含有量の回復などによって脳の代謝を促進することが,科学的研究によって示されている.

 構造式は図1に示した.構造式から推定されることは加水分解によりシチジン(図2)とコリン(図3)を生じる.コリンは循環器系と脳の機能および細胞膜の構成と補修に不可欠な水溶性の栄養素である.したがってシチリコンは脳代謝,意識障害の改善剤である.また膵炎改善剤でもある.臨床検査値への影響と副作用は表1に示した.

参考文献

1) 斎藤勇,柴田正宏,秋山洋一:脳保護剤Nizofenoneの体内動態試験―健常人での検討.基礎と臨 19:1589-1605,1985
2) 中島光好,植松俊彦,金丸光隆:AT-877(塩酸ファスジル)の臨床第I相試験―単回および反復投与試験.薬理と治療 20:1559-1585,1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?