臨床検査55巻2号

2011年02月発行

今月の主題 腸内細菌叢 話題

新生児と腸内細菌叢

著者： 城裕之¹

所属機関： ¹横浜労災病院周産期センター長兼小児科

ページ範囲：P.177 - P.181

1. はじめに

　本稿では，主に新生児の腸内細菌叢(腸内フローラ)と感染症発症との関係について述べる．新生児の腸内フローラにおける異常が新生児の全身感染症発症に大いに関連があるからである．本誌の対象が医師と臨床検査技師であることから，新生児の全身感染症についての概略と腸内フローラがどのように全身感染症に進展するのかについての理解を深めるために，無菌動物を使った感染実験についても述べることとする．

参考文献

1) Palazzi DL, Klein JO, Baker CJ:Bacterial sepsis and meningitis. In:Infectious diseases of the fetus and newborn infant, 6th edition (Remington JS ed), Elsevier, Philadelphia，pp258-262，2006

2) 城裕之：感染と免疫．Neonatal Care　8：46-51，2000

3) 老川忠雄：細菌の生体内定着―細菌叢形成と細菌叢形成時の細菌感染症発症について―．感染症　18：1-8，1980

4) Collins FM, Carter PB:Growth of salmonellae in orally infected germ free mice. Infect Immun　21：41-47，1978

5) Berg RD, Wommack E, Deitch EA:Immunosuppression and intestinal bacterial overgrowth synergistically promote bacterial translocation. Arch Surg　123：1359-1364，1988

6) 老川忠雄：腸内細菌と感染．新生児の感染症の予防と管理(井村総一編)，メディカ出版，pp17-22，1995

7) 掘田昌宏：新生児の腸内細菌叢と感染．感染症誌　57：405-417，1983

8) 北島博之；栄養補助物質の使用　ビフィズス菌の投与．周産期医学　35(増刊)：498-504，2005

9) 秋山和範，島田優美，石関しのぶ，他：超低出生体重児におけるビフィズス菌の効果：Bifidobacterium longum投与による腸内フローラの変化(Bifidobacterium breveとの比較)．新生児誌　30：257-263，1994

10) 五石圭司：低出生体重児の疾患と腸内細菌叢．小児内科　39：1214-1216，2007