icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査55巻3号

2011年03月発行

文献概要

今月の主題 更年期医療 話題

更年期に現れやすい口腔疾患とその検査

著者: 伊藤加代子1

所属機関: 1新潟大学医歯学総合病院加齢歯科診療室

ページ範囲:P.281 - P.283

文献購入ページに移動
1 . 更年期に現れやすい口腔疾患

 更年期世代によくみられる口腔の疾患には,口腔乾燥症,味覚障害,舌痛症,顎関節症,歯周疾患などが挙げられる.実際,女性専門外来の医師にアンケート調査を行ったところ,“口が渇く”“味がおかしい”“舌が痛い”“顎が痛い”などの愁訴が多くみられた(図1)1).これらの症状が,女性ホルモンの減少そのものによって引き起こされているのか,あるいは閉経に伴うストレスが原因となっているのかは,よくわかっていない.

 前述のアンケート調査によると,女性専門外来においては,口腔に関する愁訴をカルテに記載するのみで,歯科への紹介には至らないケースもあることが明らかになった.しかし,適切な検査を行って加療することで,口腔の症状が緩解するばかりでなく,更年期症状そのものが軽減する可能性がある.

 本稿では,更年期世代の女性に現れやすい口腔疾患とその検査方法について概説する.

参考文献

1) 伊藤加代子:歯科領域と更年期女性―口腔に現れる症状,ご存知ですか?更年期と加齢のヘルスケア 7:149-153,2008
2) 伊藤加代子,五十嵐敦子:女性におけるドライマウスの治療に関する検討.更年期と加齢のヘルスケア 5:51-55,2006
3) シェーグレン症候群の基礎と臨床(片山一朗編),医薬ジャーナル社,p15,2003
4) Ship JA, Patton LL, Tylenda CA:An assessment of salivary function in healthy premenopausal and postmenopausal females. J Gerontol 46:M11-15,1991
5) Laine M, Leimola-Virtanen R:Effect of hormone replacement therapy on salivary flow rate, buffer effect and pH in perimenopausal and postmenopausal women. Arch Oral Biol 41:91-96,1996
6) 味覚障害診療の手引き(池田稔編),金原出版,p29,2006
7) 鱒見進一:顎関節症の診かた,治しかた.医学情報社,p12,2002
8) 日本顎関節学会:顎関節症診療に関するガイドライン,口腔保健協会,p27,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?