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今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 非腫瘍・5
脳梗塞のマクロ・ミクロ像
著者: 小松明男1 坂本穆彦2
所属機関: 1東京都保健医療公社多摩南部地域病院検査科 2杏林大学医学部付属病院病理部
ページ範囲:P.428 - P.430
文献購入ページに移動上記のとおり脳梗塞は血管の閉塞に起因するが,原因が脳内に限局する疾患か,他臓器にも原因の一部があるか,という観点から脳梗塞は脳血栓と脳塞栓とに分けられる.脳血栓は脳内における血栓形成が原因であり(in situ thrombosis),脳塞栓は脳以外の臓器で栓子が形成されて血流により脳に運ばれて内腔を閉塞する疾患である(図1).栓子が形成される脳以外の臓器は多岐にわたるが,最も高頻度にみられるのは心疾患を有する心臓である.ことに心筋梗塞,弁膜症,心房細動には合併症として壁在血栓がしばしばみられる.この壁在血栓が時に栓子となり,脳塞栓を惹起する.心臓以外では内頸動脈の粥状硬化症からのプラークの剝離,心奇形に伴う奇異塞栓,骨折に伴う脂肪塞栓などが重要である.脳塞栓の好発部位は,中大脳動脈の灌流領域,分岐部,粥状硬化症による狭窄病変のみられる所である.
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