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文献概要
今月の主題 臨床生理機能検査におけるリスクマネジメント 総論
インシデント・アクシデントの分析と対策
著者: 川村治子1
所属機関: 1杏林大学保健学部救急救命学科
ページ範囲:P.643 - P.648
文献購入ページに移動インシデントやアクシデント(以下,事例)を医療事故防止に活かす方法には2つある.個々事例と多数事例の活用である.前者としては,警鐘的な重要事例をRCAなどで詳細に分析し,より根本的なシステム要因を明らかにするものである.一方,後者としては,まず一つは,業務別に業務プロセスとエラー内容からなるマトリックスで事例を整理する.この手法は,業務のどこで,どのようなエラーがなぜ起きるのかの可視化を可能にし,事故防止教育や業務ルールの見直しに活用できる.もう一つは,新卒者の事例や夜間・休日の事例など,特定の対象や状況の事例に絞って分析するものである.おのおのの課題が明らかになり,対策立案に有用な示唆が得られる.
参考文献
1)ジェームズ・リーズン著,塩見弘監訳:組織事故:起こるべくして起こる事故からの脱出,日科技連出版,p167,1999
2)塩見弘:人間信頼性工学入門,日科技連出版,p191,1996
3)F.H.ホーキンズ著,石川好美監訳:ヒューマン・ファクター:航空の分野を中心として,成山堂,pp7-11,1992
4)橋本廸生監:医療安全ハンドブック:医療事故を未然に防止するヒヤリ・ハット報告の分析と活用,メヂカルフレンド,pp112-119,2002
5)飯田修平,柳川達生:RCAの基礎知識と活用事例,日本規格協会,2006
6)石川雅彦:RCA根本原因分析法実践マニュアル:再発防止と医療安全教育への活用,医学書院,2007
7)日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業第24回報告書,p33,2011
8)川村治子:ヒヤリ・ハット11,000事例によるエラーマップ完全本,医学書院,2003
9)川村治子:系統看護学講座:医療安全,医学書院,pp174-182,2009
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