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今月の主題 臨床生理機能検査におけるリスクマネジメント 話題
ヒューマンエラーは原因か結果か―その対策は
著者: 河野龍太郎12
所属機関: 1自治医科大学医学部メディカルシミュレーションセンター 2自治医科大学医学部医療安全学
ページ範囲:P.679 - P.681
文献購入ページに移動これまで医療従事者の間では,ヒューマンエラーは不注意で起こるというものの見方・考え方が支配的であり,このためエラー対策は“注意すること”という“竹やり精神論”を基本としたものであった.しかし,この竹やり精神論型安全対策には限界があることを理解しなければならない.ヒューマンエラー発生メカニズムの観点から,エラーは主に不注意で発生するという考え方は間違いであり,過去の事故事例を詳細に調べると,むしろ一生懸命に仕事をしていたためにエラーが発生したという事例が多くあることに気がつく.現代の複雑な作業環境においては,ヒューマンエラーがなぜ起こるのかを科学的に理解し,理に適った対策をとらなければならない.
ヒューマンエラーの定義には様々なものがあるが,一般的には“システムの許容範囲を逸脱する判断や行為”としているものが多い.したがって,エラーを理解するには,まず,人間の行動はどのように形成されるのかを理解しなければならない.この行動には,必要な行動をしないエラー(omission error)とやるべき行為と違う行為のエラー(commission error)がある.ただし,人間のすべての行動を簡単に説明することは非常に難しいが,意思決定を伴う行動については,次のように説明することができる.
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