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今月の主題 IgG4関連疾患 話題
IgG4測定のピットフォール
著者: 亀子光明1 北村弘文2
所属機関: 1長野市民病院診療技術部 2長野市民病院診療技術部・臨床検査科
ページ範囲:P.799 - P.801
文献購入ページに移動従来,IgGサブクラス測定は,その臨床的意義が明確でなかったため,検査室ではあまり用いられておらず,また,その測定法も酵素免疫測定法(enzyme immunoassay;EIA)1),固相酵素免疫測定法(enzyme-linked immunosorbent assay;ELISA)2)などの煩雑な測定法のため,普及が遅れていたと考えられる.特に,4つのIgGサブクラスのうちIgG4は,最も血中濃度が低く,アレルギー性疾患,天疱瘡,膜性腎症(免疫複合体)などの特殊な疾患では上昇することが知られていたが3,4),積極的に測定されることはなかった.
しかし,近年,自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis;AIP)4~6)で血中IgG4濃度が特異的に上昇し,膵癌との鑑別に有用であることが報告され,また,厚生労働省難治性膵疾患調査研究班と日本膵臓学会が協力して作成した「自己免疫性膵炎臨床診断基準2006」7)に血清IgG4測定が血清学的診断項目として採用されることとなった.さらに,2010年より保険適用項目(検体検査実施料400点)となり,測定法の自動化も手伝ってIgG4測定が注目されている.
本稿では,IgG4測定法のピットフォールと今後の課題について述べる.
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