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文献詳細

雑誌文献

臨床検査55巻8号

2011年08月発行

文献概要

緊急連載/東日本大震災と検査・2

放射線被曝と健康モニタリング

著者: 宮崎真1 宍戸文男1 山下俊一2

所属機関: 1福島県立医科大学放射線科 2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医療科学専攻

ページ範囲:P.802 - P.806

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はじめに

 1895年レントゲンがX線を発見し,翌年にはベクレルが,放射性同位元素から自然放射能の存在を発見している.その後のキュリー夫妻によるウランやポロニウムの発見がいかに物理化学の発達のみならず,科学の力による莫大な社会貢献を導き出したか計り知れないものがある.しかし,その後不幸にして原子爆弾の開発競争が原子力の平和利用の前に始まり,広島・長崎の両都市に原爆が投下されてから66年が経過しようとしている.

 現在の国際放射線安全防護の基準は,長年にわたる広島・長崎の原爆被爆者の疫学調査をもとに作成されている.戦後の日本は原発安全神話としてのエネルギー政策を推し進め,環境保全に努めつつ原発周辺住民の安全防護に腐心してきたはずである.しかし,今回の放射線被曝による健康問題は,公衆衛生の観点からも戦後最大の難局である.広島・長崎の英知,ならびに国内外の放射線健康影響の専門家を集結し,国難を乗り越える必要がある.

参考文献

1) IAEA : Chernobyl's Legacy : Health, Environmental and Socio-Economic Impacts and Recommendations to the Governments of Belarus, the Russian Federation and Ukraine. IAEA, Austria,2006
2) Yamashita S, Saenko V : Mechanism of Disease : molecular genetics of childhood thyroid cancers. Nat Clin Pract Endocrionol Metab 3:422-429,2007
3) 山下俊一:放射線と甲状腺疾患.甲状腺疾患診療マニュアル(田上哲也編),診断と治療社,pp140-141,2009
I in childhood. J Natl Cancer Inst 97:724-732,2005
5) Yamashita S, Carr Z, Repacholi M : Long-term health implications of the Chernobyl accident and relevant projects of the World Health Organization. Health Phys 93:538-541,2007
6) 北川亘:甲状腺微小癌の取り扱い.甲状腺疾患診療マニュアル(田上哲也編),診断と治療社,pp128-130,2009
7) 日本内分泌外科学会,日本甲状腺外科学会:甲状腺腫瘍診療ガイドライン.金原出版,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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