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文献詳細

雑誌文献

臨床検査55巻9号

2011年09月発行

文献概要

研究

BNP(brain natriuretic peptide)の検討で明らかになったメーカー間差

著者: 大森智弘1 當銘良也1 今村ちさ1 布施川久恵1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構神奈川病院研究検査科

ページ範囲:P.928 - P.932

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 BNP(brain natriuretic peptide)分析機を院内導入するため,小型2機種の比較検討を行った.AIA-360(東ソー社)は比較した外部委託検査で使用しているMI02(エイアンドティー社)との間でy=0.97x+4.702と良好な相関を示したが,パスファースト(三菱化学メディエンス社)ではy=1.60x-15.96と大きな傾きがみられた.またAIA-360とパスファーストを直接比較した相関もy=1.58x-16.82と大きな傾きがみられた.日本国内では,すべてのメーカーで塩野義製薬の抗体を使用しているためメーカー間差がないとされてきたが,今回の検討でメーカー間差が明らかになった.原因は統一した標準物質がないためと考えられ,今後統一したキャリブレーターの導入が必須と思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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