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雑誌詳細

文献概要

あいまにカプチーノ

通勤ランの勧め

著者: 種村正1

所属機関: 1心臓血管研究所臨床検査部

ページ範囲:P.80 - P.80

 私は1時間ほどの通勤ランを16年間続けている.きっかけはあまりに無様なお腹を何とかしようと考えたからである.これではいかんと思いつつ放置していたが,ある日,NHKのニュース番組で衝撃的な映像を目にした.60歳で胃癌の手術を受けて胃の2/3を摘出した人が毎朝4時に起きてストレッチと筋トレを行い,5時からあぜ道を走り,朝食後に溜池で泳ぎ,午後から山でバイク(自転車)に乗ってトレーニングをしているというのである.そのお方,なんと64歳でトライアスロンに挑戦し,初戦はスイムで溺れてリタイアしたものの,その後のレースでは完走し続けている中尾友一さんという伝説のトライアスリートであった(当時73歳).こんなおじさんでもできるのだから,自分にもできるだろう,どうせやるなら簡単にはできそうもないこのスポーツをやってみようと,無謀とも思える決意をした.この時33歳,心臓血管研究所に転職して4年目のことだった.

 さて,運動とは無縁だった私が最初に取り組んだのが職場から帰ってからのジョギング.近所の公園を5周するつもりであったが,途中で胸が痛くなり断念.「トライアスロン」,「ランナーズ」といった月刊誌を購読してトレーニング方法を勉強することにした.その中で目についたのが“ゆっくり走れば速くなる”という佐々木功監督の教え.これは,きつい運動をするのではなく,心拍数を目安にLSD(long slow distance)を続ければ自然と運動ができる身体になってタイムも早くなるという方法であった.目安とする心拍数はATレベル(anaerobic threshold;嫌気性代謝閾値)と呼ばれる強度で,有酸素運動から無酸素運動に切り替わる運動強度のことを指す.ATレベルは一般的には会話を続けることができるくらいの強さで,初心者にとっては早歩きくらいの運動である.ATレベル以下で運動すれば脂肪が燃焼して痩せられるうえに,乳酸が生成されないため,ほとんど疲れないで続けられるということから,この方法にすぐに飛びついた.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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