文献詳細
文献概要
今月の主題 鉄代謝のバイオマーカー 話題
感染症と鉄代謝
著者: 三好秀征1 森屋恭爾2
所属機関: 1東京大学医学部附属病院消化器内科 2東京大学医学部附属病院感染制御部
ページ範囲:P.1120 - P.1122
文献購入ページに移動鉄は病原微生物を含め生体において酸素運搬や各種酵素活性にかかわる必須の微量金属元素である.一方鉄が過剰に存在するとFenton反応によるフリーラジカル産生が引き起こされるため,生体内での鉄代謝は厳密に調節されている.慢性感染症の場合,炎症性サイトカインによって肝臓におけるヘプシジン(hepcidin;HAMP)合成が低下し,腸管からの鉄吸収低下がもたらされ最終的に貧血を認めることとなる.Helicobacter pylori菌持続感染と鉄欠乏性貧血の関連,Vibrio vulnificusが肝硬変患者に感染した際にみられる重症化,C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)感染では肝臓への鉄沈着が亢進し肝臓内酸化ストレス亢進がもたらされるなど,多くの感染症において鉄代謝と病態形成が関与している.
参考文献
掲載誌情報