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文献概要
シリーズ-感染症 ガイドラインから見た診断と治療のポイント・6
HIV感染症
著者: 鯉渕智彦1
所属機関: 1東京大学医科学研究所附属病院感染免疫内科・診療科
ページ範囲:P.1123 - P.1128
文献購入ページに移動はじめに
近年,日本国内のHIV(human immunodeficiency virus)感染者/AIDS(acquired immunodeficiency syndrome)患者の報告数の伸びはやや鈍化しているが,明らかな減少の兆しはない.2011年エイズ発生動向(厚生労働省エイズ動向委員会)によると,2011年のHIV感染者/AIDS患者の報告者数は1,529件で,過去3位の報告数であった.HIV感染者/AIDS患者を合わせた報告数(累計)は2012年初めに20,000件を超えた.HIV感染者の診療を行うことは決して珍しいことではなく,あらゆる病院や診療所でHIV感染者に遭遇する可能性がある.
抗HIV療法は著しく進歩したため,HIV感染症は長期生存が可能な“慢性ウイルス感染症”になり患者の高齢化が進んでいる.加齢に伴う様々な合併症にどのように対処していくかが今後の大きな課題である.早期発見,適切な時期での治療開始,良好なアドヒアランス(服薬)の維持が患者のQOL維持には極めて重要であり,そのための指針が抗HIV治療ガイドライン1)に記載されている.
本稿では,ガイドラインの考え方やHIV診療の現状を概説したい.
近年,日本国内のHIV(human immunodeficiency virus)感染者/AIDS(acquired immunodeficiency syndrome)患者の報告数の伸びはやや鈍化しているが,明らかな減少の兆しはない.2011年エイズ発生動向(厚生労働省エイズ動向委員会)によると,2011年のHIV感染者/AIDS患者の報告者数は1,529件で,過去3位の報告数であった.HIV感染者/AIDS患者を合わせた報告数(累計)は2012年初めに20,000件を超えた.HIV感染者の診療を行うことは決して珍しいことではなく,あらゆる病院や診療所でHIV感染者に遭遇する可能性がある.
抗HIV療法は著しく進歩したため,HIV感染症は長期生存が可能な“慢性ウイルス感染症”になり患者の高齢化が進んでいる.加齢に伴う様々な合併症にどのように対処していくかが今後の大きな課題である.早期発見,適切な時期での治療開始,良好なアドヒアランス(服薬)の維持が患者のQOL維持には極めて重要であり,そのための指針が抗HIV治療ガイドライン1)に記載されている.
本稿では,ガイドラインの考え方やHIV診療の現状を概説したい.
参考文献
1) HIV感染症及びその課題を克服する研究班(研究分担者 鯉渕智彦):抗HIV治療ガイドライン2012年3月,厚生労働省科学研究費補助金研究事業(https://www.haart-support.jp/pdf/guideline2012.pdf)
2) 平成23年度厚生労働省科学研究費肝炎等克服緊急対策研究事業(肝炎分野)ウイルス肝炎における最新の治療法の標準化を目指す研究班:平成24年B型C型慢性肝炎・肝硬変治療ガイドライン(http://www.jsh.or.jp/medical/date/H24_guideline.pdf)
3) Cohen MS, Chen YQ, McCauley M, et al : Prevention of HIV-1 infection with early antiretroviral therapy. N Engl J Med 365:493-505,2011
4) Hasse B, Ledergerber B, Furrer H, et al : Morbidity and aging in HIV-infected persons : the Swiss HIV cohort study. Clin Infect Dis 53:1130-1139,2011
5) The European Guidelines for Treatment of HIV Infected Adults in Europe (European AIDS Clini-cal Society, version 6 - October 2011, http://www.europeanaidsclinicalsociety.org/)
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