icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻5号

2013年05月発行

文献概要

異常値をひもとく・5

特発性血小板減少性紫斑病の患者血清中から検出されたまれなIgG3κ-CK-MM型マクロCK1の検索方法

著者: 金光房江1

所属機関: 1元倉敷中央病院臨床検査科

ページ範囲:P.577 - P.583

文献購入ページに移動
はじめに

 クレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)-MBは心筋に特異的かつ高活性に存在するが,急性心筋梗塞初期でも血清CK-MB/CKはたかだか25%止まりのことが多い1).しかし,血中にCK-BBやミトコンドリアCK(Mi-CK),マクロCK1などが存在すると,免疫阻害法では25%以上になることがあり2),逆にCK-MB/CKに上昇がみられると,これらCKの存在が推測できる.しかし,今回取り上げる特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura;ITP)の一例はCK-MB/CKが7%で,このデータのみではマクロCK1の存在は推測困難であった3).さらに,通常のマクロCK1は持続的で変化に乏しい例が多いが,このマクロCK1は短期間で血小板数とは逆方向に変化し,病態との関連が示唆された3)

 本稿では,このまれなマクロCK1について,構成する免疫グロブリンとアイソザイムの検索・同定方法を中心に解説する.

参考文献

1)Stein W, Bohner J, Steinhart R, et al:Macro creatine kinase:determination and differentiation of two types by their activation energies. Clin Chem 28:19-24,1982
2)金光房江:CK-MBの値が総CK値よりも大きいことがあるのはなぜか? 検査と技術 37:849-853,2009
3)金光房江:特発性血小板減少性紫斑病の患者血清中から検出された新規IgG3κ-CK-MM型マクロCK1の検索.臨床病理 60:839-846,2012
4)多田富雄(監訳):免疫学イラストレイテッド,南江堂,pp58-72,1986
5)橋野聡:ヘリコバクター・ピロリ感染と特発性血小板減少性紫斑病の関連.日本細菌学雑誌 61:381-389,2006
6)高津聖志,清野宏,三宅健介(監訳):免疫学イラストレイテッド(原書 第7版),南江堂,pp59-86,2009
7)Arnold H, Wienker TF, Hoffmann MM, et al:High levels of brain-type creatine kinase activity in human platelets and leukocytes:a genetic anomaly with autosomal dominant inheritance. Blood Cells Mol Dis 48:62-67,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?