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今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①
ZTT・TTTの異常と病態
著者: 金原清子1
所属機関: 1虎の門病院臨床検体検査部
ページ範囲:P.1004 - P.1008
文献購入ページに移動■膠質反応は,血清アルブミンの減少,グロブリンの増加を反映している.硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)はγ-グロブリンとよく相関し,チモール混濁試験(TTT)はγ-グロブリンのほか脂質蛋白(リポ蛋白)の増加にも反応する.
■膠質反応は種々の要因により変動するので,診断的価値は高いとはいえないが,慢性肝疾患の発見に有用である.しかし,変動機序に不明な点が多く,測定上の問題もあるため,欧米ではほとんど用いられていない.
■ZTTは主として慢性肝疾患の経過観察および急性肝炎遷延化や再燃の指標として有用性が高い.TTTは急性肝炎,特にA型肝炎で上昇が顕著である.慢性肝炎や肝硬変ではZTT,TTTともに上昇するが,A型急性肝炎(通常,発症第2週から)ではTTTがZTTと解離して上昇することが特徴であり,免疫グロブリンM(IgM)の増加を反映していると考えられている.
■膠質反応は種々の要因により変動するので,診断的価値は高いとはいえないが,慢性肝疾患の発見に有用である.しかし,変動機序に不明な点が多く,測定上の問題もあるため,欧米ではほとんど用いられていない.
■ZTTは主として慢性肝疾患の経過観察および急性肝炎遷延化や再燃の指標として有用性が高い.TTTは急性肝炎,特にA型肝炎で上昇が顕著である.慢性肝炎や肝硬変ではZTT,TTTともに上昇するが,A型急性肝炎(通常,発症第2週から)ではTTTがZTTと解離して上昇することが特徴であり,免疫グロブリンM(IgM)の増加を反映していると考えられている.
参考文献
1)日本消化器病学会肝機能研究班:肝機能検査法の選択基準(第7版).日本消化器病学会雑誌 103:1413-1419,2006
2)中山年正:チモール混濁試験(TTT)と硫酸亜鉛混濁試験(ZTT),臨床検査ガイド2001~2002(MedicalPractice編集委員会編),文光堂,pp173-175,2001
3)多田慎一郎,斎藤英胤:生化学検査 蛋白関係 膠質反応(ZTT,TTT).日本臨牀 67(増刊):234-236,2009
4)虎の門病院肝機能検査研究グループ:肝機能検査─日本消化器病学会ガイドライン準拠(池田健次編),診断と治療社,pp132-142,2007
5)Kitamura M, Yamaguchi H, Murakawa K, et al:Screening for multiple myeloma using routine laboratory test results. Clin Biochem 15:17-21,1982
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