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文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻9号

2013年09月発行

文献概要

次代に残したい用手法検査・3

計算盤を用いた赤血球数,血小板数,白血球数の算定

著者: 大沼沖雄1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院臨床検査部三菱化学メディエンス

ページ範囲:P.1043 - P.1050

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はじめに

 現在,血球算定は,操作の容易さ,処理能力,再現性の高さなどから自動血球算定装置が広く使われている.自動血球算定装置の測定原理は,①検出孔を血球が通過すると電気抵抗の変化が生じるため,それを数えて算定する電気抵抗法と,②フローセルに光(レーザー光など)を照射し,通過する血球を算定する光学的算定法の2つに分けられる.しかし,この機器は,血球と同じ大きさの血球外粒子も“血球”として数えてしまう欠点があるため,懐疑的なデータが出現した場合に昨今の装置のブラックボックス化に伴い,検証することが極めて困難である1)

 一方,古典的な血球算定法としては計算盤を用いた方法が挙げられる.計算盤を用いた血球算定は,再現性には難があるが,個々の血球を確認しながら数えられるという利点がある.さらに,この方法は血球算定以外にも,骨髄細胞数や培養細胞,血球外の粒子(花粉など)の算定も可能であり臨床的有用性も高い.

 本稿では,忘れ去られようとしている古典的な方法である計算盤を用いた血球算定について述べる.

参考文献

1)久保田浩:各論検査編 血液検査 血球数 自動分析法,血球計算盤.検査と技術 33:1233-1238,2005
2)氏家幸:血球計数 用手法の実際.検査と技術 28:683-686,2000
3)桑島実:血液一般検査サンプリングの誤差要因と対策.臨床病理 103:115-122,1996
4)Ohnuma O, Shirata Y, Miyazawa K:Use of theophylline in the investigation of pseudothrombocytopenia induced by edetic acid (EDTA-2K). J Clin Pathol 41:915-917,1988
5)三輪史朗(編):臨床検査技術全書 第3巻 血液検査,医学書院,1972
6)北村元仕:臨床検査マニュアル,文光堂,pp325-327,1988
7)寺田秀夫:栓球,巨核球および網球の算定法ならびに栓球の位相差像.臨床病理 13:22-36,1967
8)谷崎勝朗:好塩基球に関する研究 第1編 好塩基球および好酸球の同時直接算定法の考案とその臨床的評価.岡山医学会雑誌 85:189-197,1973
9)Berkson J, Magath TB, Hurn M:The error of estimate of blood cell count as made with the hemocytometer. Am J Physiol 128:309-323,1940

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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