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文献詳細

雑誌文献

臨床検査58巻11号

2014年10月発行

文献概要

増刊号 微生物検査 イエローページ Ⅲ章 菌種別の培養・同定方法 グラム陰性桿菌

エルシニア

著者: 佐藤智明1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院 感染制御部

ページ範囲:P.1326 - P.1329

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菌の基本情報

1.性状と特徴

・通性嫌気性グラム陰性桿菌で腸内細菌科に属する.

・大きさは0.5〜0.8μm×1.0〜3.0μm,桿状または卵円形.

・他の腸内細菌科の菌と比較し発育が遅い.

・Yersinia属は現在11菌種に分類されているが,ヒトに下痢などの食中毒様症状の病原性を示すのはYersinia enterocoliticaおよびYersinia pseudotuberculosisである.

・0〜45℃で発育可能(冷蔵庫内でも発育)であり,至適発育温度は25〜28℃である.

・37℃で培養すると鞭毛が形成されないが,25℃で培養すると鞭毛が形成されて運動性が出てくるなど,増殖する温度により性状が大きく変化する.

・野ネズミなどの野生動物やウシ,ブタなどの家畜,イヌ,ネコなどのペットに存在し,ヒトへは食物汚染や保菌動物との接触により感染する人畜共通感染症である.

参考文献

1)名雲英人,佐竹正博:輸血用血液製剤の細菌汚染の現状と対策.日輸血細胞治療会誌 60:3-11,2014
2)林谷秀樹,岩田剛敏:Yersinia pseudotuberculosis感染症(仮性結核).Mod Media 51:211-216,2005
3)犬塚和久:糞便検査.微生物検査ナビ(堀井俊伸監修,犬塚和久編),栄研化学,pp84-87,2013
4)Wauters G, Kandolo K, Janssens M:Revised biogrouping scheme of Yersinia enterocolitica. Contrib Microbiol Immunol 9:14-21,1987
5)Nakajima H, Inoue M, Mori T, et al:Detection and identification of Yersinia pseudotuberculosis and pathogenic Yersinia enterocolitica by an improved polymerase chain reaction method. J Clin Microbiol 30:2484-2486,1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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