文献詳細
文献概要
増刊号 微生物検査 イエローページ Ⅲ章 菌種別の培養・同定方法 嫌気性菌
ウェルシュ菌
著者: 山本剛1
所属機関: 1西神戸医療センター 臨床検査技術部
ページ範囲:P.1390 - P.1393
文献購入ページに移動1.性状と特徴1,2)
・偏性嫌気性グラム陽性桿菌である.
・0.9〜1.3×3〜9μmで運動性をもたない.
・芽胞を形成し,莢膜を形成する.芽胞は亜端在性で楕円形であるが芽胞形成は他のClostridiumに比べて弱く確認がしにくい(図1).
・培養は通常のヒツジ血液加ブルセラ寒天培地に発育し,嫌気条件下で培養をする.
・カナマイシン添加卵黄CW寒天培地上では乳白色の隆起したコロニーを形成し卵黄反応を呈する.
・24時間後でコロニーを形成し,円形で隆起した灰白色のコロニーを形成する(図2).
・二重溶血環(完全溶血環と不透明溶血環)を形成する.
・集落に紫外線(ultraviolet ray:UV)を照射すると,黄色〜黄緑色の蛍光を発する.
・発育至適温度は37〜45℃.6℃でも増殖可能である.
・酸素に極めて感受性が高い.
・A,B,C,DおよびEの5つの外毒素を産生する.食中毒のほとんどがA型に属する.
・主な病原因子はエンテロトキシン(C. perfringens enterotoxin:CPE)である.CPEは易熱性の蛋白質で熱や酸により容易に分解される.
・腸管と結合組織・筋肉組織の2つの標的部位がある.
参考文献
掲載誌情報