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増刊号 微生物検査 イエローページ Ⅲ章 菌種別の培養・同定方法 嫌気性菌
バクテロイデス
著者: 神谷茂1
所属機関: 1杏林大学 医学部感染症学講座
ページ範囲:P.1397 - P.1400
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・バクテロイデス属細菌はグラム陰性偏性嫌気性桿菌であり,嫌気性菌感染症の主たる原因菌となり,医学的に重要である.
・重要なバクテロイデス属菌種はBacteroides fragilisであり,5種のsubspecies(fragilis,
distasonis,ovatus,thetaiotaomicron,vulgatus)をもち,これらはB. fragilisグループと呼ばれていたが,DNAホモロジー解析の結果,現在ではそれぞれの菌種に分けられている(従来のB. distasonisは分子遺伝学的に異なるパラバクテロイデス属に分類されることとなった).
・B. fragilisは偏性嫌気性細菌に分類されているが,近年,ナノモルレベルの酸素環境下では,酸素を利用してエネルギーを獲得する能力をもつことが報告されている.バクテロイデス属細菌のうち,B. splanchnicusのみが酪酸を発酵できる.
・分子遺伝学的にバクテロイデス属と異なるクラスターを形成する従来のバクテロイデス属細菌は,新たにパラバクテロイデス属Genus Parabacteroidesに分類された.Parabacteroides属に分類される主たる菌種を表1に示す.
・P. distasonisは腸内フローラ構成菌であるとともに,嫌気性感染症の原因菌となる.検査,治療についてはバクテロイデス属に準じる.
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