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増刊号 微生物検査 イエローページ Ⅲ章 菌種別の培養・同定方法 真菌
ニューモシスチス・イロベチイ
著者: 槇村浩一1
所属機関: 1帝京大学大学院 医学研究科宇宙環境医学研究室
ページ範囲:P.1423 - P.1426
文献購入ページに移動1.性状と特徴
・子囊菌門,タフリナ亜門に属する真菌であり,近縁種は分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)である.
・かつて本菌名であったPneumocystis cariniiは,現在ラットを宿主とする菌種名であり,ヒト病原菌であるP. jiroveciiとは別種である.本属菌種としては,少なくとも数種が知られているが,おのおの特定の宿主にしか感染しない(宿主種のバリア).したがって,ヒトにおけるP. carinii肺炎はあり得ない.
・検査室において実施できる本菌の培養法は確立されていない.また,ヒトに対する絶対寄生菌(常在菌)であり,環境中における発育は不能と考えられている.
・検鏡上,小型(1〜3μm)の栄養体(9割以上を占める)と,厚い細胞壁を有するやや大型(5〜8μm)のシストを認める(図1,2).
・シストには8個の胞子が含まれており,これが発芽して栄養体となる.また,栄養体は2分裂によっても増殖する.
・シスト細胞壁は(1→3)-β-D-グルカン〔(1→3)-β-D-glucan:BD〕を含有する.
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