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増刊号 微生物検査 イエローページ Ⅲ章 菌種別の培養・同定方法 原虫
赤痢アメーバ
著者: 小林正規1
所属機関: 1慶應義塾大学 医学部感染症学教室
ページ範囲:P.1427 - P.1429
文献購入ページに移動1.性状と特徴
・嫌気性の原生動物(アメーバ目):明確なミトコンドリアはみられない.
・囊子(cyst):球形(まれに長球形)径12〜15μm.
キチン質の囊子壁に覆われる.囊子内栄養型は成熟すると4核(感染型)となる〔核の中心に小さな球形のカリオソーム(クロマチン核小体)と核膜下に密に並ぶクロマチン粒を有すエントアメーバ(Entamoeba)タイプの核と,核分裂期の細胞質内には棍棒状の類染色質体(リボソームの結晶)やヨード・ヨードカリで濃染するグリコーゲン胞(辺縁部が不明瞭)がみられる〕.
栄養型(trophozoite):エントアメーバタイプの核を有し,大きく葉状偽足を突出させることでアメーバ運動と貪食を行う(20〜50μm).
・栄養型は大腸粘膜に接着,侵入して増殖し,腸粘膜のびらんや潰瘍を引き起こす.赤血球を貪食する栄養型がしばしばみられる.
・病変が顕在化することで発症〔腸アメーバ症(大腸病変をみるもの)と腸管外アメーバ症(血行性あるいは癒着した組織を介し直接進展することで大腸以外の臓器に転移し病変形成するもの)とに大別される〕.
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