文献詳細
文献概要
異常値をひもとく・21
高アミラーゼ血症を伴う多発性骨髄腫
著者: 古城剛1 田淵智久2 松下昌風1 橋口照人1
所属機関: 1鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 検査部 2公益財団法人慈愛会今村病院 血液内科
ページ範囲:P.1663 - P.1668
文献購入ページに移動多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)は,M(monoclonal)蛋白の存在と骨病変や腎障害などの臨床症状を特徴とする形質細胞の腫瘍性疾患である.
M蛋白の種類によって,IgG型,IgA型,IgM型,IgD型,IgE型,BJP(Bence Jones protein)型に分類され,さらにL鎖の種類によりκ型,λ型に分類される.IgG型が最も多く60%で,次にIgA型が20%,BJP型が15〜20%となり,IgM型,IgD型,IgE型はまれである1).多発性骨髄腫患者の60〜70%が,経過中に骨の破壊や形質細胞腫による神経組織の圧迫などにより疼痛を訴える1).骨破壊とともに腫瘍細胞が産生する副甲状腺ホルモン関連蛋白(parathyroid hormone-related protein:PTHrP)の作用が加わって,高カルシウム血症を呈する1).多発性骨髄腫に高アミラーゼ(amylase:AMY)血症を伴う症例において,骨髄生検の免疫染色によりAMY産生骨髄腫細胞と断定できた症例を提示する.
参考文献
掲載誌情報