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文献詳細

雑誌文献

臨床検査58巻3号

2014年03月発行

文献概要

異常値をひもとく・15

自動血球計数装置において異常細胞集団が出現した卵形マラリア

著者: 石濱裕美子1

所属機関: 1東京都立墨東病院 検査科

ページ範囲:P.385 - P.390

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はじめに

 マラリアはハマダラカの刺咬によりPlasmodium属のマラリア原虫が体内に侵入して起こる疾患である.ヒトが感染するマラリアは三日熱(P. vivax),四日熱(P. malariae),卵形(P. ovale),熱帯熱(P. falciparum)の4種類が知られているが,近年第5のマラリアとしてサルマラリアの1種であるP. knowlesiによる感染事例が,東南アジアの広い地域で報告されている.マラリアは世界人口の最大40%が感染の危機にさらされている疾患であり,2012年では2億700万人が罹患し,死亡者は62.7万人と推計されている(WHOホームページ:http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs094/en/index.html).日本におけるマラリア報告数は,2010年からは年間70例台で推移している(国立感染症研究所ホームページ:http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr.html).

 当院は感染症外来をもち,年間約60件のマラリア検査依頼がある.毎年マラリアと診断される患者が発生し,2005~2012年の8年間で27名を数える.本症例は血算の測定を契機に卵形マラリアの診断につながった1例である.

参考文献

1)Briggs C, Da Costa A, Freeman L, et al:Development of an automated malaria discriminant factor using VCS technology. Am J Clin Pathol 126:691-698,2006
2)Lee HK, Kim SI, Chae H, et al:Sensitive detection and accurate monitoring of Plasmodium vivax parasites on routine complete blood count using automatic blood cell analyzer (DxH800TM). Int J Lab Hematol 34:201-207,2012
3)倉本智津子,山口直子,内池敬男,他:ユニセルDxH800によるマラリア検出の一例.臨床病理 61(suppl):304,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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