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文献概要
異常値をひもとく・17
高密度リポ蛋白質コレステロールが異常低値を示し,扁桃腺が腫大した女子症例
著者: 櫻林郁之介1
所属機関: 1一成会さいたま記念病院
ページ範囲:P.628 - P.637
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リポ蛋白のなかで高密度リポ蛋白質コレステロール(high-density lipoprotein cholesterol;HDL-C)は,低密度リポ蛋白質コレステロール(low-density lipoprotein cholesterol;LDL-C)と比較すると注目度が低い.LDL-Cは一般的に悪玉コレステロールとも呼ばれているが,その理由は値が上昇した状態が続くと動脈硬化を起こすことが知られているためであり,また臨床での注目度が高い.一方,HDL-Cは高値を示す例では長寿症候群とも呼ばれ,善玉コレステロールと呼ばれる根拠になったように高値は問題がなく,むしろ低値が問題になるために一般の人々の注目度が低い.
しかし,HDL粒子はコレステロールの逆転送経路と呼ばれるコレステロールを細胞から引き抜き,体の外に出してやる経路において重要な役割をもっているので1),もう少し関心をもつべきであろう.特にHDL-C低値を持続的に示す症例においては,時に重大な意味をもつ場合があるので日常の臨床検査に注意を払わねばならない.図1にHDL-C低値がみられた場合の対処法を示してある.
リポ蛋白のなかで高密度リポ蛋白質コレステロール(high-density lipoprotein cholesterol;HDL-C)は,低密度リポ蛋白質コレステロール(low-density lipoprotein cholesterol;LDL-C)と比較すると注目度が低い.LDL-Cは一般的に悪玉コレステロールとも呼ばれているが,その理由は値が上昇した状態が続くと動脈硬化を起こすことが知られているためであり,また臨床での注目度が高い.一方,HDL-Cは高値を示す例では長寿症候群とも呼ばれ,善玉コレステロールと呼ばれる根拠になったように高値は問題がなく,むしろ低値が問題になるために一般の人々の注目度が低い.
しかし,HDL粒子はコレステロールの逆転送経路と呼ばれるコレステロールを細胞から引き抜き,体の外に出してやる経路において重要な役割をもっているので1),もう少し関心をもつべきであろう.特にHDL-C低値を持続的に示す症例においては,時に重大な意味をもつ場合があるので日常の臨床検査に注意を払わねばならない.図1にHDL-C低値がみられた場合の対処法を示してある.
参考文献
1)日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド 2013年版,杏林舎,2013
2)Maekawa M, Kikuchi J, Kotani K, et al:A novel missense mutation of ABCA1 in transmembrane alpha-helix in a Japanese patient with Tangier disease. Atherosclerosis 206:216-222,2009
3)櫻林郁之介:血清脂質・アポリポ蛋白検査.異常値の出るメカニズム 第6版(河合忠,屋形稔,伊藤喜久,他編),医学書院,pp179-200,2013
4)中恵一,三輪一智:脂質異常症(脂質代謝異常).生化学(三輪一智,中恵一著),医学書院,2014
5)Singaraja RR1, Brunham LR, Visscher H, et al:Efflux and atherosclerosis: the clinical and biochemical impact of variations in the ABCA1 gene. Arterioscler Thromb Vasc Biol 23:1322-1332,2003
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