文献詳細
異常値をひもとく・18
原発性マクログロブリン血症のM蛋白によりヘモグロビンが偽高値となった症例
著者: 土屋直道1
所属機関: 1公益財団法人天理よろづ相談所病院 臨床検査部
ページ範囲:P.753 - P.759
文献概要
原発性マクログロブリン血症は,B細胞性の腫瘍細胞が単クローン性にIgMを産生することで,過粘稠度症候群を主体とした症状を呈する疾患である1).検査には異常反応やピットフォールが付きものであるが,原発性マクログロブリン血症においても,クエン酸ナトリウム採血で血液がゲル状化したり,免疫グロブリン値と蛋白分画において乖離を認めたりするなどの報告がある2,3).
今回提示するのは血球計数検査において,ヘモグロビン(hemoglobin;Hb)測定試薬とM蛋白が異常反応を呈し,Hbが偽高値となった症例である.
血球計数検査のデータ保証において平均赤血球Hb濃度(mean corpuscular hemoglobin concentration;MCHC)のチェックは重要で,MCHCが36%を超えるような場合は,検体や測定装置の異常を考えなくてはならない.当該症例はMCHCの異常高値を認めたことから,Hb偽高値またはヘマトクリット(hematocrit;Ht)偽低値を疑った4).検体の上清に溶血や乳びを認めず,Htも毛細管法と一致し,当初は原因を特定できなかった.
参考文献
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