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文献詳細

雑誌文献

臨床検査58巻6号

2014年06月発行

文献概要

異常値をひもとく・18

原発性マクログロブリン血症のM蛋白によりヘモグロビンが偽高値となった症例

著者: 土屋直道1

所属機関: 1公益財団法人天理よろづ相談所病院 臨床検査部

ページ範囲:P.753 - P.759

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はじめに

 原発性マクログロブリン血症は,B細胞性の腫瘍細胞が単クローン性にIgMを産生することで,過粘稠度症候群を主体とした症状を呈する疾患である1).検査には異常反応やピットフォールが付きものであるが,原発性マクログロブリン血症においても,クエン酸ナトリウム採血で血液がゲル状化したり,免疫グロブリン値と蛋白分画において乖離を認めたりするなどの報告がある2,3)

 今回提示するのは血球計数検査において,ヘモグロビン(hemoglobin;Hb)測定試薬とM蛋白が異常反応を呈し,Hbが偽高値となった症例である.

 血球計数検査のデータ保証において平均赤血球Hb濃度(mean corpuscular hemoglobin concentration;MCHC)のチェックは重要で,MCHCが36%を超えるような場合は,検体や測定装置の異常を考えなくてはならない.当該症例はMCHCの異常高値を認めたことから,Hb偽高値またはヘマトクリット(hematocrit;Ht)偽低値を疑った4).検体の上清に溶血や乳びを認めず,Htも毛細管法と一致し,当初は原因を特定できなかった.

参考文献

1)土屋達行,松田晃,伊豆津宏二,他:病気がみえるvol.5 血液 第1版,メディックメディア,pp140-142,2010
2)鈴木博子,佐藤由佳,長瀬純香,他:クエン酸ナトリウム採血にて血液がゲル状化したマクログロブリン血症の一例.愛知県臨床衛生検査技師会誌らぼ 60:27-30,2009
3)松田親史,森山英彦,柴田宏,他:免疫グロブリン値と蛋白分画において乖離を認めた1症例の原因解析と対策方法についての検討.島根医学検査 40:28-32,2012
4)黒本光一:MCHC偽高値に関する検討~XE-2100による測定でMCHCが36.0%を超える原因~.日本臨床検査自動化学会会誌 38:40-47,2013
5)寺田弘:SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法.ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(高木俊夫編),廣川書店,pp41-62,1990
6)志村裕美,小井土清子,笹岡純代,他:自動血球計数装置(GEN’S)でMCHCで異常高値に測定された高ガンマグロブリン血症の一例.日本検査血液学会雑誌 1:81,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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