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雑誌詳細

文献概要

次代に残したい用手法検査・12

ABO血液型おもて・うら検査

著者: 曽根伸治1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院 輸血部

ページ範囲:P.761 - P.765

はじめに

 近年の輸血は,赤血球,血漿,血小板の必要な成分のみを補う成分輸血である.輸血を実施するためには,血液型検査,不規則抗体検査および交差適合試験が必要である.ABO血液型不適合の赤血球輸血は,患者死亡などの重大な過誤を起こすので,血液型検査は誤りが許されない.患者のABOおよびRho(D)血液型は,別の機会に採血した検体で2回以上検査を実施して確定する.さらに赤血球輸血は,血液型検査を実施した検体とは別に交差適合試験用に採血を行い,交差適合試験が適合した血液のみ輸血する手順を確立しておく必要がある.

 輸血検査は,生化学検査や血液検査に比べ自動化が遅れ,用手法で行われていた.近年,検査過誤防止の観点から輸血検査の自動化が,大学病院などの大規模病院で進んでいる.しかし,血液型検査の自動化法は,検査過誤防止に有用であるが,検査の所要時間が約20分と用手法に比べ長い現状がある.救命救急などの輸血では,数分で血液型検査の結果が得られるスライド法や試験管法の用手法での実施が必要となる.ABO血液型おもて・うらの用手法検査は,輸血検査の自動化が進んでも継承されていく必要がある.

参考文献

1)曽根伸治:全自動輸血検査装置.Medical Technology 39:134-138,2011
2)田中伸久,浅香貴子,兵藤悠美子,他:小児における血液型ウラ試験の検討.医学検査 59:815-818,2010
3)筒井貴之,佐藤博美,小原久美,他:Rh(D)陰性女性献血者の抗D抗体陽性率について.血液事業 32:319-323,2009

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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