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文献詳細

雑誌文献

臨床検査59巻1号

2015年01月発行

文献概要

検査説明Q&A・1【新連載】

CA19-9の偽高値が疑われますが原因はどのようなものがありますか?

著者: 皆見啓子1

所属機関: 1自治医科大学附属病院 臨床検査部

ページ範囲:P.80 - P.81

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■CA19-9とは

 CA(carbohydrate antigen)19-9は,ヒト結腸・直腸癌培養株をマウスに免疫し,得られたモノクローナル抗体が認識する糖鎖抗原である.Ⅰ型糖鎖を基本骨格とする血液型ルイスA糖鎖の末端にシアル酸が結合したものでシアリルLea抗原を認識する.このため,Lewis血液型Lea−b−の場合はたとえ癌があっても陰性となる.CA19-9は正常の成人や胎児の唾液腺・膵管・胆管・胆囊・胃粘膜・気管支・前立腺・結腸・直腸・子宮内膜などの上皮細胞表面に認められ,癌化に伴って産生が増加し血中に分泌される.膵癌,胆管癌,胆囊癌で80〜90%,胃癌,大腸癌で30〜50%の陽性率を示し,消化器系癌の腫瘍マーカーとして利用される.また,消化器系以外でも肺癌や卵巣癌,子宮体部癌でも陽性となるため,臓器特異性は低い.

参考文献

1)多田稔,川邊隆夫,小俣政男,他:膵癌・胆道系腫瘍マーカー─CA19-9を中心に.検と技 34:561-563,2006
2)新井智子,塚田敏彦:免疫検査法間で測定値が乖離したときの考えかた─腫瘍マーカーを例に.検と技 31:103-107,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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