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文献詳細

雑誌文献

臨床検査59巻11号

2015年10月発行

文献概要

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ Ⅲ章 報告前に必要なチェック 〔生化学検査〕

生体色素(T-Bil,D-Bil)

著者: 吉田俊彦1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部生化学・免疫検査室

ページ範囲:P.1181 - P.1184

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緊急性

 血清ビリルビンが高値となると黄疸をきたす.早期には眼球結膜の黄染が認められ,皮膚への黄染へと進展し,2.0〜3.5mg/dL以上になると全身の黄疸となる.黄疸症状があるような肝実質性や胆汁うっ滞型の急性肝障害や肝炎は重症である.閉塞性黄疸で胆管炎や胆囊炎などが疑われる場合は,ドレナージや手術などの処置が必要となる1)

 一方,新生児においては,産生や再吸収の上昇と抱合作用の減少によって,生後24時間の時点で5.0mg/dL,36時間までに7.0mg/dL程度になることが判明しており,“新生児の生理的黄疸”といわれている2).このように,黄疸症状があるからといっても,緊急性が伴わない場合もある.しかし,新生児においても表1のような高ビリルビン血症を示す場合は,非抱合型ビリルビンが血液脳関門を超えて基底核や小脳の神経細胞に侵入し“核黄疸”や“ビリルビン脳症”と呼ばれる脳障害を引き起こす可能性が高まる.その場合は,光療法や交換輸血などの治療を実施する必要が生じる.

参考文献

1)大原弘隆:黄疸.臨床検査のガイドライン JSLM2012,宇宙堂八木書店,pp139-142,2012
2)Academy of Breastfeeding Medicine Protocol Committee:ABM clinical protocol #22: guidelines for management of jaundice in the breastfeeding infant equal to or greater than 35 weeks’ gestation. Breastfeed Med 5:87-93,2010
3)大澤進:総ビリルビン.検と技 39:748-751,2011
4)野村文夫:ビリルビン.基準値と異常値の間 その判定と対策 改訂6版(河合忠編),中外医学社,pp589-590,2006
5)榎奥健一郎:総ビリルビン.検査値の読み方事典(中原一彦監修),総合医学社,pp55-56,2014
6)吉田俊彦,大澤進,澤部祐司,他:HPLC法による新しい血清ビリルビン測定試薬の評価,生物試料分析 27:139-145,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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