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増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ Ⅲ章 報告前に必要なチェック 〔生化学検査〕
LD
著者: 石川仁子1 前川真人12
所属機関: 1浜松医科大学医学部附属病院検査部 2浜松医科大学医学部臨床検査医学
ページ範囲:P.1185 - P.1189
文献購入ページに移動乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase:LD)は解糖系最終段階の酵素で,H(B)とM(A)の2種のサブユニットからなる4量体であり,5種のアイソザイムを形成する.ほとんど全ての細胞の可溶性分画に局在し,細胞の傷害・変性などによって,直接もしくはリンパ管経由で間接的に血流に流入する逸脱酵素である.したがって,血清LD上昇はどこかに異常が生じていることを示す高感度なサインである.軽度上昇する病態では必ずしも緊急とはいえないが,心筋梗塞,横紋筋壊死,急性肝炎などでも血清LDが上昇するため,他の検査と一緒に測定することで鑑別診断が容易になる.
基本的には,血清LDが高ければ高いほど,たくさんの細胞が傷害を受けていることを示すため,特に極端な高値は予後重篤な所見であり,多臓器不全,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC),心肺停止,心筋梗塞,劇症肝炎などでみられる.循環不全や心不全,腎不全などの合併症も考慮されるべきである1).また,癌や白血病・リンパ腫などの血液悪性腫瘍でも血清LD高値を示す.
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