icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査59巻11号

2015年10月発行

文献概要

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ Ⅲ章 報告前に必要なチェック 〔微生物検査〕

塗抹染色の見方

著者: 山本剛1 河野香織1 長谷朋子1 池町真実1

所属機関: 1西神戸医療センター臨床検査技術部

ページ範囲:P.1260 - P.1271

文献購入ページに移動
 微生物検査は,血液検査や生化学検査に比べると日単位で作業が進み,時間がかかる検査であるが,Gram染色をはじめとする塗抹検査は検査開始から結果の報告までに時間を要さない.また,1回当たりの試薬代も安価であり,大型機器も必要とせず小規模施設や診療所でも手軽にできる微生物検査の1つでもある.イムノクロマト法を原理とした迅速検査によって簡単に微生物の同定が可能になったが,検査材料に対象微生物が存在しない場合には陰性となってしまう.

 塗抹検査は,対象となる微生物を染色し検査を行うものであり,特にGram染色は対象微生物の種類にもよるが,その染色性や形態の特徴を確認することで微生物の推定が可能である.患者背景や臨床経過に微生物の推定を加えることで,より効果的な抗菌薬を絞りこむことが可能で,感染症診療において有用な検査である.特に外科的処置を必要としない肺炎や髄膜炎では抗菌薬治療が開始されるまで短時間であるほど予後がよく,また,感染症の発症は昼夜を問わず発生し,緊急検査としてのニーズは高くなる.それは重症疾患であるにつれてその必要性が高まってくる.緊急検査で行う塗抹検査は,適切な感染症治療のために必要である.

参考文献

1)Gracia LS:3.2. Stainning Procedure, 3.2.1. Gram Stain, Clinical Microbiology Procedure Handbook. 3rd. edition, Vol.1, AMS Press, Washington DC, 2010
2)荒川創一:グラム染色.ひと目でわかる微生物検査アトラス 第2版(木下承皓編),金原出版,2013
3)Tunkel AR, Hartman BJ, Kaplan SL, et al:Practice guidelines for the management of bacterial meningitis. Clin Infect Dis 39:1267-1284,2004
4)樋口武史:検査材料.結核菌検査指針2007(日本結核病学会抗酸菌検査法検討委員会編),財団法人結核予防会,pp13-20,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?