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今月の特集2 腹部超音波を極める
胆道系の超音波検査を極める
著者: 藤本武利1
所属機関: 1平塚胃腸病院外科
ページ範囲:P.1402 - P.1414
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●良好な画像を得るために,圧迫と体位変換のほか呼吸変動を駆使して消化管ガスを排除し,全体像の把握に努める.
●胆囊・胆管には粘膜筋板・粘膜下層がなく,それぞれの固有筋層・線維筋層が薄いということが壁層構造を理解するうえで重要である.
●壁層構造を理解すれば,体外超音波検査(US)で胆囊癌の深達度診断がかなりの程度で可能である.そのポイントは,“病巣深部低エコー”と“外側高エコー層の肥厚”である.
●体外USによる胆囊床の血管観察は不測の大量術中出血の予防に役立つので,腹腔鏡下胆囊摘出術を安全に行うために有用である.
●良好な画像を得るために,圧迫と体位変換のほか呼吸変動を駆使して消化管ガスを排除し,全体像の把握に努める.
●胆囊・胆管には粘膜筋板・粘膜下層がなく,それぞれの固有筋層・線維筋層が薄いということが壁層構造を理解するうえで重要である.
●壁層構造を理解すれば,体外超音波検査(US)で胆囊癌の深達度診断がかなりの程度で可能である.そのポイントは,“病巣深部低エコー”と“外側高エコー層の肥厚”である.
●体外USによる胆囊床の血管観察は不測の大量術中出血の予防に役立つので,腹腔鏡下胆囊摘出術を安全に行うために有用である.
参考文献
1)野口隆義,相部剛,天野秀雄,他:超音波内視鏡による早期胆囊癌診断への期待.胃と腸 21:507-514,1986
2)藤本武利:腹部エコーの利用法 胆囊・胆管.診断と治療 94:1305-1317,2006
3)土屋幸浩,大藤正雄,矢澤孝文,他:超音波による胆石の種類と診断.胆と膵 7:1483-1491,1986
4)佐々木民人,田妻進,茶山一彰:膵・胆管合流異常と発癌.消画像 5:175-179,2003
5)五十嵐裕章:膵・胆管合流異常における胆囊壁の特徴的変化に関する研究─画像および病理組織学的所見について.胆道 5:517-525,1991
6)日本肝胆膵外科学会:臨床・病理 胆道癌取扱い規約 第6版,金原出版,2013
7)竹内和男,竹下理恵,小山里香子,他:胆道疾患におけるBモード超音波診断.超音波医 33:5-24,2006
8)藤本武利,加藤洋:術中USで外側高エコー層の肥厚と蚕食像を認めた初期SS胆管癌の1例.超音波医 38:657-662,2011
9)小井戸一光:ドプラ法および造影法.超音波医 33:25-35,2006
10)藤本武利,加藤洋:外側高エコー層の吊り上げ肥厚を伴う胆囊腫瘤は初期SS胆囊癌を示す.超音波医 39:131-138,2012
11)藤本武利,井利雅信,加藤洋,他:外側高エコー層に著変がない胆囊漿膜下層浸潤癌の1例 術前に深達度診断の手掛かりはなかったか? それは“病巣深部低エコー”.胆と膵 19:1175-1178,1998
12)藤本武利,林原紀明,小熊将之:腹腔鏡下胆囊摘出術における胆囊床出血の予防と対策─術前超音波検査による胆囊床血管観察の有用性.日内視鏡外会誌 15:59-66,2010
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