文献詳細
文献概要
寄生虫屋が語るよもやま話・10
寄生虫の家なき子—旋尾線虫
著者: 太田伸生1
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院・国際環境寄生虫病学分野
ページ範囲:P.1130 - P.1131
文献購入ページに移動 子どもの時分,「家なき子」(Sans famille)の絵本を読んだ記憶がある.フランスの作家マロの作品で,子ども心にも主人公に涙し共感したものだが,この手合いの名作としてはディケンズの「Oliver Twist」などもあって,中近世のヨーロッパでは孤児という存在は珍しくなかったのだろうか.さて,今回は寄生虫の家なき子を話題に取り上げたい.
旋尾線虫という寄生虫がいる.富山湾名産のホタルイカはこの寄生虫を宿しており,ヒトが感染すると,皮下を這い回ることによる爬行疹や腸閉塞症状がみられることがある(図).私の研究室にはホタルイカのサンプリング調査を続けている仲間がいて,彼によれば,旋尾線虫に感染したホタルイカはこの数年,ほぼ安定して2〜3%だという.このことは地元漁協にもお知らせしており,消費者がホタルイカを生で食することは漁協ともどもお勧めしていない.
旋尾線虫という寄生虫がいる.富山湾名産のホタルイカはこの寄生虫を宿しており,ヒトが感染すると,皮下を這い回ることによる爬行疹や腸閉塞症状がみられることがある(図).私の研究室にはホタルイカのサンプリング調査を続けている仲間がいて,彼によれば,旋尾線虫に感染したホタルイカはこの数年,ほぼ安定して2〜3%だという.このことは地元漁協にもお知らせしており,消費者がホタルイカを生で食することは漁協ともどもお勧めしていない.
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