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増刊号 心電図が臨床につながる本。 Ⅱ章 波形からみた心電図[1] 心臓の器質的疾患Plus
QRSの異常—QRS幅の延長
著者: 相澤義泰1 倉田奈緒美1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部循環器内科
ページ範囲:P.1173 - P.1178
文献購入ページに移動洞結節で発生した心臓の電気的興奮は左右の心房を興奮させた後,房室結節およびHis束に伝播する.心筋の興奮は心室中隔で最初に始まり,右脚と左脚に分かれて中隔下部に伝播する.左脚は前枝と後枝に分かれ,最終的にはPurkinje線維に移行して左右の自由壁へ伝導する.また,心筋の脱分極は心内膜側から始まり心外膜側に伝わる.
心電図上のQRS波は左右の心室の脱分極を反映し,Q波の始めからS波の終わりまでを示す.QRS時間の正常値は0.10秒未満(洞調律時)であるが,加齢とともに延長する.一方,0.12秒以上であればQRS時間の延長とされる.脚ブロックの場合0.10秒以上0.12秒未満を不完全脚ブロック,0.12秒以上を完全脚ブロックと分類する.なお,Q波の始まりからR波の頂点までの時間をVAT(ventricular activation time)と呼び,心内膜側から始まった興奮が心外膜へ到達するまでの時間を表す.
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