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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻11号

2016年10月発行

文献概要

増刊号 心電図が臨床につながる本。 Ⅱ章 波形からみた心電図[1] 心臓の器質的疾患Plus

QRSの異常—R波の高低

著者: 水上和也1 横式尚司1 筒井裕之1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学

ページ範囲:P.1187 - P.1192

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Overview

 QRS波形は心室筋の脱分極を表す.正常では右室壁より左室壁が厚く,心室筋の興奮は全体として左室成分が強いため,QRSの興奮の主たる方向は立体的には左やや後下方に向かう形となる.そのため,肢誘導ではR波はⅡ誘導が最も大きく,Ⅰ誘導,aVF誘導のR波が高くなる(図1,→).

 胸部誘導では左側にQRSベクトルが向かうことを反映し,V1のR波は小さくS波が深い,V5,V6ではR波が大きく,S波が小さい(図2,→).QRS波の高さは標準肢誘導では2点間の相対的電位差を,胸部誘導や単極肢誘導ではWilsonの結合電極を不関電極とした電位波高によって生じる.そのため,QRS波の振幅に影響を与える因子としては心臓起電力の大きさ,心臓周囲組織,誘導電極の位置などが挙げられる.

参考文献

1)Romhilt DW, Estes EH Jr:A point-score system for the ECG diagnosis of left ventricular hypertrophy. Am Heart J 75:752-758,1968
2)清水昭彦,笠貫宏(編):新・心臓病診療プラクティス7 心電図で診る・治す,文光堂,pp84-88,2006
3)Massing GK, James TN:Conduction and block in the right bundle branch, real and imagined. Circulation 45:1-3,1972
4)村川裕二(編):新 目でみる循環器病シリーズ1 心電図,メジカルビュー社,pp20-27,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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