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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻11号

2016年10月発行

文献概要

増刊号 心電図が臨床につながる本。 Ⅱ章 波形からみた心電図[1] 心臓の器質的疾患Plus

QRSの異常—J波・ε波

著者: 長野徳子1 髙橋尚彦1

所属機関: 1大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座

ページ範囲:P.1193 - P.1197

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J波

Overview

J波とは?

 QRS終末部あるいはST部分との接合部にみられる陽性のノッチ(notch),もしくはスラー(slur)の総称である.12誘導心電図の下壁誘導(Ⅱ,Ⅲ,aVF)および側壁誘導(Ⅰ,aVL,V4〜V6)において,2誘導以上で0.1mV以上のJ点上昇,もしくはJ波の存在を認め,かつ,これに起因すると考えられる心室細動(ventricular fibrillation:VF),心肺停止の既往がある場合にJ波(早期再分極)症候群(early repolarization syndrome:ERS)と診断する.図1は,45歳,男性の12誘導心電図である.Ⅱ,Ⅲ,aVF,V6にスラー,V5にノッチのJ波(→)を認め,VF,心肺停止の既往があり,ERSと診断できる.

参考文献

1)Antzelevitch C, Yan GX:J wave syndromes. Heart Rythm 7:549-558,2010
2)渡部裕:QT短縮症候群とJ波・早期再分極.心電図 32:286-291,2012
3)森博愛:虚血性J波.J波症候群(森博愛,丸山徹編),医学出版社,pp136-163,2013
4)Nakagawa M, Tsunemitsu C, Katoh S, et al:Effect of ECG filter settings on J-waves. J Electrocardiol 47:7-11,2014
5)下重晋也:知っておきたい心電図波形と関連疾患 イプシロン波と不整脈源性右室心筋症.Med Technol 37:1161-1165,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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