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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻11号

2016年10月発行

文献概要

増刊号 心電図が臨床につながる本。 Ⅱ章 波形からみた心電図[1] 心臓の器質的疾患Plus

ST上昇とT波増高

著者: 中島真1 太田洋1

所属機関: 1板橋中央総合病院循環器内科

ページ範囲:P.1198 - P.1204

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Overview

 急性前壁中隔心筋梗塞の心電図である(図1).V1〜V3誘導で上に凸なST上昇とV1〜V5誘導でT波の増高と,対側のⅡ,Ⅲ,aVF誘導において鏡像変化としてST低下を認める.

 ST上昇やT波増高を示す最も緊急性の高い疾患は,本例のようなST上昇型急性心筋梗塞(ST elevation myocardial infarction:STEMI)である.STEMIを見逃さないように常に注意が必要である.異型狭心症は冠攣縮によって貫壁性の虚血を呈し,動脈硬化プラークの破綻によって起こるSTEMIと同様のST上昇と対側のST低下を認めることも多く,鑑別のためには問診やその他の画像診断が必要となる.心電図のみからの鑑別は困難な場合もある.

参考文献

1)鈴木祥司:STの上昇.心電図の読み方パーフェクトマニュアル 理論と波形パターンで徹底トレーニング!(渡辺重行,山口巖編),羊土社,p170,2006
2)Kosuge M, Ebina T, Hibi K, et al:Simple and accurate electrocardiographic criteria to differentiate takotsubo cardiomyopathy from anterior acute myocardial infarction. J Am Coll Cardiol 55:2514-2516,2010
3)Haïssaguerre M, Derval N, Sacher F, et al:Sudden cardiac arrest associated with early repolarization. N Engl J Med 358:2016-2023,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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