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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻11号

2016年10月発行

文献概要

増刊号 心電図が臨床につながる本。 Ⅱ章 波形からみた心電図[1] 心臓の器質的疾患Plus

U波の異常

著者: 渡邉裕昭1 江口和男1

所属機関: 1自治医科大学内科学講座循環器内科学部門

ページ範囲:P.1218 - P.1220

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Overview

 体表心電図において,T波に引き続く波は1903年にEinthovenによって“U波”と名付けられた.U波は必ずしも病的な意義はなく,健常人でもしばしば認められる.正常U波は,aVR以外の誘導では常に陽性であり,その高さはT波の高さとある程度相関し,T波の高さの50%は超えない.また,通常U波の振幅は0.2mVを超えることがほとんどない.一般にU波が最もよく観察できるのはV2・V3誘導である(図1).

 T波終了からU波頂点までの時間は,QT時間とは異なり心拍非依存性である.しかし,U波は徐脈であるとより大きくみえ,頻脈であるとT波とともにその波高は小さくみえる傾向にある.しばしばT波とU波は融合しており,それが二相性T波の一部なのかU波なのかの鑑別が困難なことが多い.U波はⅠ,aVR,aVL誘導ではみられないことが多いため,仮にQT時間を測定する場合,これらの誘導で測定すればU波を含める可能性は低くなる.

参考文献

1)ザイヌル アベディン:心室頻拍と心室細動.エセンシャル心臓電気生理学(安武正弘監訳,村松光訳),メディカル・サイエンス・インターナショナル,p289,2014
2)渡辺重行:U波の増高と陰転.心電図の読み方パーフェクトマニュアル 理論と波形パターンで徹底トレーニング!(渡辺重行,山口巖編),羊土社,pp236-237,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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