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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻4号

2016年04月発行

文献概要

今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査

栄養サポートに役立つ血漿蛋白

著者: 大林光念1 柳澤由佳子1 伊崎彩音1 田崎雅義1

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部構造機能解析学分野

ページ範囲:P.386 - P.392

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Point

●栄養アセスメント蛋白には,血中半減期が比較的長く,静的栄養状態を示すアルブミン(ALB)に加え,動的栄養状態を示すトランスサイレチン(TTR)やトランスフェリン(Tf),レチノール結合蛋白質(RBP)などの短半減期蛋白質(RTP)が用いられている.

●RTPは,いずれも血中で反急性期反応蛋白質として機能し,妊娠や腫瘍の存在,ストレス,肝傷害,炎症や種々の感染症の存在によって血中レベルが著明に低下することから,栄養状態を把握する際にはC反応性蛋白質(CRP)や血清アミロイドA蛋白(SAA),α1-酸性糖蛋白質(α1-AG)などの炎症マーカーを同時に測定する必要がある.

●ステロイド剤や免疫抑制剤で治療中の患者,ウイルス感染症患者,および自己免疫疾患患者の栄養評価にはKumamoto Index,維持透析を受けている末期腎不全患者の栄養評価にはMIS(malnutrition inflammation score)の使用がそれぞれ有効である.

●近年,血漿アミノ酸濃度パターン(アミノグラム)の変化から個人の健康状態・栄養状態を判断し,予防や治療,栄養管理に役立てようとする動きも活発化している.

参考文献

1)大林光念,安東由喜雄:栄養サポートチーム(NST)の機能を高める検査室間連携.臨検 58:417-421,2014
2)立石多貴子,中村政明,植田光晴,他:栄養サポートチーム(NST)における栄養アセスメント蛋白と炎症マーカーの活用法の実際.臨病理 53:825-831,2005
3)Ingenbleek Y, Young V:Transthyretin (prealbumin) in health and disease:nutritional implications. Annu Rev Nutr 14:495-533,1994
4)Kalantar-Zadeh K, Kopple JD, Block G, et al:A malnutrition-inflammation score is correlated with morbidity and mortality in maintenance hemodialysis patients. Am J Kidney Dis 38:1251-1263,2001
5)Hisamatsu T, Okamoto S, Hashimoto M, et al:Novel, objective, multivariate biomarkers composed of plasma amino acid profiles for the diagnosis and assessment of inflammatory bowel disease. PLoS One 7:e31131,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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