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今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
栄養サポートに役立つ血漿蛋白
著者: 大林光念1 柳澤由佳子1 伊崎彩音1 田崎雅義1
所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部構造機能解析学分野
ページ範囲:P.386 - P.392
文献購入ページに移動●栄養アセスメント蛋白には,血中半減期が比較的長く,静的栄養状態を示すアルブミン(ALB)に加え,動的栄養状態を示すトランスサイレチン(TTR)やトランスフェリン(Tf),レチノール結合蛋白質(RBP)などの短半減期蛋白質(RTP)が用いられている.
●RTPは,いずれも血中で反急性期反応蛋白質として機能し,妊娠や腫瘍の存在,ストレス,肝傷害,炎症や種々の感染症の存在によって血中レベルが著明に低下することから,栄養状態を把握する際にはC反応性蛋白質(CRP)や血清アミロイドA蛋白(SAA),α1-酸性糖蛋白質(α1-AG)などの炎症マーカーを同時に測定する必要がある.
●ステロイド剤や免疫抑制剤で治療中の患者,ウイルス感染症患者,および自己免疫疾患患者の栄養評価にはKumamoto Index,維持透析を受けている末期腎不全患者の栄養評価にはMIS(malnutrition inflammation score)の使用がそれぞれ有効である.
●近年,血漿アミノ酸濃度パターン(アミノグラム)の変化から個人の健康状態・栄養状態を判断し,予防や治療,栄養管理に役立てようとする動きも活発化している.
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