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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻6号

2016年06月発行

文献概要

心臓物語・3

拍動の謎を解く鍵,介在板

著者: 島田達生12

所属機関: 1大分大学 2大分医学技術専門学校

ページ範囲:P.584 - P.584

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 心臓が収縮と弛緩(拍動)するのは,すべての心筋が協調して働くことができるからである.不思議だ.心筋は,組織学的に骨格筋と同様に横紋筋に属するが,筋線維が網状配列していることが特徴である.なぜ,その心筋線維のすべてが同期して動くのであろうか? 光学顕微鏡の対物レンズを40倍にして,光を絞ってみると,心筋線維は横紋筋特有のしま模様がみられ,また,所々筋線維を横切る横線がある.この横線には光を強く屈折させる性質があるので,光輝線(Glanzstreifen)と呼ばれていた.1μm厚のエポン切片のトルイジンブルー染色は光輝線を鮮明に捉えることができる([1]).

 心筋線維は骨格筋線維と同様に合胞体(細胞境界がなく,細胞質が合わさった状態)であると信じられていた.Bielschowsky-Gomoriの細網線維鍍銀法(1934年)は,膠原線維を赤色,細網線維(好銀線維ともいう)を黒色に染め分ける染色法である.この鍍銀染色を心臓に応用すると,心筋線維が合胞体であり,長軸方向に並んでいるように見える([2]).光輝線は電子顕微鏡が開発されるまでその機能は全く不明であり,人工産物や,異常な収縮などとするさまざまな説が長年続いた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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