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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻6号

2016年06月発行

文献概要

今月の特集1 もっと知りたい! 川崎病

川崎病の疫学と病態

著者: 中村好一1 牧野伸子1

所属機関: 1自治医科大学公衆衛生学教室

ページ範囲:P.586 - P.591

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Point

●わが国ではこれまでに30万人以上の乳幼児が川崎病に罹患しているが,その原因はいまだに不明である.

●1月に患者数が多く,夏場にも患者数の増加が観察される.年齢別の罹患率は0歳後半にピークをもち,一峰性に分布する.

●疫学像から,感受性をもつ宿主に対して感染症が引き金となって川崎病が発症することが推察される.

●川崎病の本態は,組織壊死因子α(TNF-α)を中心とするサイトカインによる血管内皮細胞の活性化が引き起こす全身の血管炎である.

参考文献

1)川崎富作:指趾の特異的落屑を伴う小児の急性熱性皮膚粘膜淋巴腺症候群 自験例50例の臨床的観察.アレルギー 16:178-222,1967(この論文はhttp://www.jskd.jp/info/pdf/kawasaki.pdfで,英文対訳付きで閲覧可能)
2)屋代真弓,牧野伸子,中村好一,他:第23回川崎病全国調査成績.小児診療 79:273-292,2016
3)日本川崎病学会:川崎病(MCLS,小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)診断の手引き(厚生労働省川崎病研究班作成改訂5版),2002(http://www.jskd.jp/info/pdf/tebiki.pdf)
4)日本川崎病学会ホームページ(http://www.jskd.jp/)
5)日本川崎病研究センター川崎病全国調査担当グループ:第23回川崎病全国調査成績,2015(http://www.jichi.ac.jp/dph/kawasakibyou/20150924/mcls23report1013.pdf)
6)Wu MH, Nakamutra Y, Burns JC, et al:State-of-the-art basic and clinical science of Kawasaki disease:The 9th International Kawasaki Disease Symposium 10-12 April 2008, Taipei, Taiwan. Pediatric Health 2:405-409,2008
7)Singh S, Aulakh R, Bhalla AK, et al:Is Kawasaki disease incidence rising in Chandigarh, North India? Arch Dis Child 96:137-140,2011
8)上原里程:川崎病の本態にせまる 古くて新しい研究から 病態にせまる(研究成果から本態にせまる)疫学から.小児診療 74:1097-1102,2011
9)Uehara R, Yashiro M, Nakamura Y, et al:Parents with a history of Kawasaki disease whose child also had the same disease. Pediatr Int 53:511-514,2011
10)川崎病の子供を持つ親の会ホームページ(http://www.kawasaki-disease.gr.jp/)
11)Fujita Y, Nakamura Y, Sakata K, et al:Kawasaki disease in families. Pediatrics 84:666-669,1989
12)中村好一,牧野伸子:疫学からみた川崎病の原因.小児科 56:1099-1104,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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