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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻8号

2016年08月発行

文献概要

心臓物語・5

クジラの心臓

著者: 島田達生12

所属機関: 1大分大学 2大分医学技術専門学校

ページ範囲:P.808 - P.808

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 哺乳動物の心拍数は体重と反比例しており,小さなマウスやラットは毎分約700回,大きなゾウは30〜40回である.さて,クジラの心拍数はどれぐらいであろうか? 1952年にP・D・ホワイト博士たちはベーリング海でクジラ類(シロイルカ)の心電図の測定に挑戦し,見事,成功した.心拍数はわずか15回/分で,海水に潜るとさらに少なくなる.哺乳類には生来,顔が水に触れると無意識に息を止めるという反射行動が備わっている(潜水反射).ちなみに,ホワイト博士はアイゼンハワー大統領の主治医であり,WPW(Wolf-Parkinson-White)症候群の発見者でもある.

 ヒトの場合,心拍数が30(徐脈)であれば,脳血流減少によって,めまい,意識消失(失神),痙攣などの一過性の脳虚血症状を引き起こす.徐脈であるクジラ心臓を電子顕微鏡でみたくなり,日本鯨類研究所と共同研究を始めた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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