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文献詳細

雑誌文献

臨床検査61巻10号

2017年10月発行

文献概要

増刊号 呼吸機能検査 BASIC and PRACTICE Part2 臨床に直結する検査の進め方

肺拡散能の測定

著者: 大久保輝男1

所属機関: 1埼玉県立循環器・呼吸器病センター検査技術部

ページ範囲:P.1178 - P.1183

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検査の概要

 肺の主な役割は,吸入した空気の酸素を血液中に取り込むことです.そのためには換気によって酸素を肺内に取り入れ,肺胞では物理的現象である拡散によって酸素が肺胞毛細管膜を通過し,血液中に取り込まれます.肺拡散能とは,この肺胞から肺毛細血管内への酸素取り込み能力の指標です.拡散の過程には4つの段階があります.①肺胞毛細管膜の通過,②血漿中の拡散,③赤血球膜の通過,④ヘモグロビン(hemoglobin:Hb)との化学的結合,です.

 本来は酸素(O2)の拡散能力を測定したいところですが,肺毛細血管内の酸素分圧を求めることが困難であり,一酸化炭素(CO)を指標とした肺拡散能力(diffusing capacity of the lung for carbon monoxide:DLCO)が用いられています.その理由として,①COのHbに対する親和性がO2の210倍と極めて大きく,低濃度のCO(0.3%)を用いることで測定可能なこと,②COとHbの結合が強固なので,COが赤血球中に取り込まれても肺毛細管内のCO分圧を0と見なすことができ,DLCOの算出が容易であること,③O2とCOの物理的性質の相違から便宜的にDLCOを酸素の拡散能力(diffusing capacity of the lung for oxygen:DLO2)に換算可能なこと(DLO2=1.23×DLCO),の3つが挙げられます.

参考文献

1)日本呼吸器学会肺生理専門委員会(編):呼吸機能検査ガイドライン—スパイロメトリー,フローボリューム曲線,肺拡散能力,メディカルレビュー社,2004
2)大久保輝男:機能的残気量・クロージングボリューム・肺拡散能力.「通信」臨時増刊号「呼吸生理学」テキスト(東條尚子監),日本臨床検査同学院,pp20-29,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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