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文献詳細

雑誌文献

臨床検査61巻5号

2017年05月発行

文献概要

心臓物語・13

心臓内送電—房室連結筋束

著者: 島田達生12

所属機関: 1大分大学 2大分医学技術専門学校

ページ範囲:P.670 - P.670

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 心臓がポンプとして働くためには,心筋に多くの酸素と栄養が必要である.よって,心臓は密な血管系で張り巡らされている.心拍動の担い手である心筋線維は骨格筋線維と同様に神経によって支配されているのであろうか? 否である.左右心室の心筋線維は神経ではなく,電気信号で動きが開始する.洞房結節で発生した電気信号は,房室結節→房室束を経て,どのような経路を伝わって,右心室と左心室の心筋線維に送られるのか?

 1845年にチェコのプルキンエ(J. E. Purkinje)はヒツジ心臓の心室心内膜下に灰色で網状の構造物を見いだし([1]),顕微鏡観察で筋線維であるとした.その後の形態研究は,このPurkinje線維が心室筋線維よりも大型で,筋原線維が少なく,グリコーゲンが豊富であることを示した.このような様相から,Purkinje線維は心室筋線維の幼弱型,変性型あるいは心内膜の動きに関与していると推察した.さらに,1893年にHisが心室中隔の直上の膜性中隔に筋束(His束)を見いだした.しかし,その機能について言及していない.Purkinje線維とHis束の機能は長年全く謎であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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